第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 九十三話
~崩壊後 ヘルズ城~
ヘルズ王の"ジョーカー"という言葉。
シャドウ達に思いつくのは"無限魔法"だ。
だが、ここまでヘルズ王が"無限魔法"を意識させてくると、
逆に、コレはハッタリなのではないか、という意識が強くなってくる。
しかし、シャドウ達は思い切った行動が出来ない。
ハッタリである、というのは飽くまで推測だからだ。
無論、無限魔法が使えるというのも推測だが、
闘いにおいては"もしも"の事態が起きてしまったら終わりなのだ。
それでも手を出さないことには闘いは始まらない。
今、優勢であるシャドウ達は"無限魔法"を意識しつつも闘うこと以外に方法がないのだ。
シャドウはカオスレイを放ち、すぐにカオス・シャドウでヘルズ王の後ろに瞬間移動した。
この闘いで初めて見せるカオス・シャドウで、ヘルズ王の動きが止まった。
言うまでもなくカオスレイはオーラに飲み込まれたが、後ろにいたシャドウの蹴り上げがヘルズ王を捉える。
ヘルズ王は高く飛ばされた。
シャドウはカオス・シャドウを使いヘルズ王の上に現れ、かかと落としを入れる。
ヘルズ王は勢いよく落下していくが、そのまま地面に体をつけることも許されなかった。
マッスルは落下地点まで走り込み、落ちてくるヘルズ王の背中に拳を入れた。
凄まじいダメージを与えることが出来たシャドウとマッスルは、また距離を取る。
ヘルズ王は倒れていて、ピクリとも動かない。
マッスル「やったか・・・?」
そういってマッスルがヘルズ王の方に一歩足を向けた瞬間、
マッスルは何者かに横から雷を纏った拳で殴り飛ばされた。
マッスルはガレキに叩きつけられ、倒れる。
シャドウ「マッスル!」
シャドウはマッスルの元に駆け寄り、水の回復魔法をかけた。
完治できるわけではないが、多少良くなったマッスルはゆっくり立ち上がった。
その間にも、マッスルを殴った者、ヘルズ王の分身をラルドが殴り飛ばす。
分身は消え、シャドウ達の視線はヘルズ王本体の方へと向けられる。
だが、そこにヘルズ王の姿はなく、ただただガレキだけが視界に映る。
気付けば、シャドウの後ろに気配が一つ。
シャドウは舌打ちをして、気配から少し離れる。
もちろん、その気配はヘルズ王だ。
仲間達はヘルズ王と対峙して、戦闘態勢をとる。
ヘルズ王「先程のはさすがに効いた・・・。だが、私はここまで来て終わるわけにはいかない。」
ヘルズ王はまた不気味に笑う。
今までで一番恐ろしい笑いだ。
そして"後ろから"ラルドの肩を黒い閃光が貫いた。
シャドウ「ラルドッ!」
続く