第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 九十二話
~崩壊後 ヘルズ城~
ヘルズ王は不気味に笑いながらいう。
ヘルズ王「クク、ここまで言い当てられると寧ろ愉快だ。冥土の土産に他のことも教えてやろう。」
シャドウ達は、冥土の土産という挑発の言葉に乗らずに話に耳を傾けた。
ヘルズ王は冥土の土産という言葉を聞いて襲い掛かってくることを想定していたのか、手には雷がまとわれていた。
だが、襲ってこないと分かったので舌打ちをして雷を消した。
ヘルズ王「お前達がゼアスに来たあの日・・・。
最初お前達を見た時から、お前達は私の目的の支障になると思っていた。
そして、シャドウ・ザ・スピードとの戦いで"伍星・弐割"を使って、
お前が支障になった時に倒せる相手かどうかを判断した。
本気ではなかったが、潜在能力は危険だと思った私はその晩、ヘルズの入り口の空間を歪ませた。
その日、伍星・弐割を使ったせいで魔法力が足りず、ヘルズにいる分身の力をも借りなければ出来なかったがな。
そして次の日、お前達がヘルズへ向かった後、私は透明化して先にヘルズ城へと着いた。
・・・お前達がいなければこんな苦労もせずに済んだ筈だった。
もうすぐでミサイルを撃ち、私の力を誇示出来る筈だったのだ・・・!」
ヘルズ王の声に少しずつ怒りが溢れてきている。
同時に、ヘルズ王の周りに電撃が少しずつ溢れている。
ラルド「力を誇示する・・・?まさか、それだけのために戦争を!」
ラルドがそう言うと、ラルドは透明化していた分身に殴り飛ばされた。
ラルドは頬を抑えながらも立ち上がり、ヘルズ王の方を見た。
ヘルズ王「それだけ・・・?力を誇示することは存在の証明だ。これ以上のものはない。」
ヘルズ王の攻撃で、また闘いの火蓋は切られた。
シャドウのカオスレイが的確に分身に当たる。
透明だった分身はブワッと黒い粉になって消え、ヘルズ王をまた一人にした。
と、思われたが、ヘルズ王はすぐさま分身を作り出し、透明化させた。
ヘルズ王「分身は能力だ。いくら倒しても私はその分作り出せる。」
だが、今度はマッスルが分身の場所を見破って殴り飛ばす。
分身はまた黒い粉のようになって消え、ヘルズ王を苛立たせる。
マッスル「でも一体ずつみたいだな。」
マッスルが何気なく言うが、確かにそうだ。
先程からヘルズ王は分身を一体ずつしか作れていない。
今までの話の中でも分身は一体ずつしか出てきていない。
その図星を突いた言葉は、ヘルズ王の怒りを生み出した。
ヘルズ王「だが、私にダメージを与えられなければ意味がない!」
ヘルズ王は手から黒い閃光をマッスルに放った。
だがやはりマッスルは華麗に避け、ヘルズ王に衝撃波を放つ。
それに便乗し、オリも二丁の銃を連発する。
衝撃波と銃弾は黒いオーラに飲み込まれるが、
その隙にラルドがヘルズ王の懐にもぐりこんでいた。
ラルド「はいッ!」
ラルドは大声と同時にヘルズ王の目の前で猫だましをする。
だが、それと同時にヘルズ王は後ろに吹き飛んだ。
ラルドは猫だましで意識を上に持って来させ、前蹴りをしたのだ。
明らかにヘルズ王が劣勢だ。
それでもヘルズ王は不気味な笑みを浮かべている。
ヘルズ王「クク、私にはまだジョーカーがある。」
続く