第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 九十話

~崩壊後 ヘルズ城~

ヘルズ王は襲い掛かってきたシャドウ達を見て不敵に笑う。
何を企んでいるのか、とシャドウ達は走りながら考える。
そこで出てきた答えは恐ろしいものだった。
接近したところに『無限魔法』を使われる、というものだ・・・・・。

しかし、ここで止まっても無限魔法を使われてしまうのは良くない。
詠唱が終わる前に攻撃を仕掛けるしかないのだ。
そしてシャドウとラルドはスピードを上げ、ヘルズ王に接近する。

ヘルズ王「クク、馬鹿者め!」

なんと、これはヘルズ王の策略であった。
実際、詠唱は意味がなく、ただ接近させるための布石だった。
それに気付くシャドウとラルドだったが、遅かった。
ヘルズ王は至近距離で電撃を二人にぶつける。
シャドウとラルドは麻痺をして動けなくなった。
そして、二人は何か強い衝撃を与えられ、後ろに吹っ飛ぶ。
二人は、後ろから遅れて走ってきていたマッスルとオリを巻き込んでガレキの山の中に突っ込んだ。

ヘルズ王「クク、まだまだだ。」

ヘルズ王はそのガレキの山に、黒い閃光を何発か打ち込む。
黒い閃光は吸い込まれるようにガレキに入っていき、
封印魔法のクリスタルの中で戦いを見ている仲間達に絶望を与えた。

だが、次の瞬間ガレキは内側から吹き飛び、破片がヘルズ王の方へと飛んでいく。
破片は黒いオーラに飲まれるが、それよりも何が起こったのかと、ヘルズ王はガレキの山があった方へと目を向ける。
砂埃が晴れると、そこにはオーラ・バリアに守られた四人がいた。

シャドウ「その姿になっても消滅魔法は未完成なのだな。」

シャドウは、ガレキの山の中に突っ込んだ後、
ヘルズ王の殺気を感じ取ってオーラ・バリアを張っていたようだ。
吹き飛ばされた時のダメージは少しあるようだが、それでもシャドウ達は無事だった。

ヘルズ王「・・・確かに、完成されたの消滅魔法ならば全てを貫くことが出来ただろう。」

ヘルズ王は歯軋りをして、怒りを表す。
だが、ヘルズ王はまだ余裕のある表情だ。
策が尽きたという様子は一切感じさせない。

そして気付くと、シャドウ達の目の前には不自然な気配。
四人はそれを察知して弾けるようにその場を離れる。

ラルド「今、前に何かいたな・・・・・。」

ヘルズ王「やはり、感づかれるか。姿を見せても良いだろう。」

ヘルズ王がそういうと、先程のガレキの山があった場所にもう一人のヘルズ王の姿があった。
だが、ヘルズ王本人のような強大な力は感じない。
いや、ヘルズ王程じゃないとしても、力はある方だと言えるだろう。

ヘルズ王「これが私の能力の分身能力。そして・・・。」

すると突然、ヘルズ王はいなくなった。
先程の分身もいなくなっている。
いや、気配は感じられる。どこかにいるのだ。

そして、気付けばマッスルの前に気配。
マッスルは大きな電撃を受けてしまった。

マッスル「クッ、ソ・・・!」

マッスルは拳を大きく振るい、その気配を追い払う。
そして、マッスルから少し離れたところで本物のヘルズ王が姿を現す。

ヘルズ王「これが、透明化能力だ。」

その間にも透明化した分身が、オリを殴り飛ばす。
オリはすぐに起き上がり銃を撃って分身から距離を取る。

ヘルズ王「どうだ・・・。私の能力は・・・・・?」

シャドウ達は戦闘態勢を崩さず、ヘルズ王を見据える。
そんな中、シャドウがゆっくりと口を開く。

シャドウ「・・・・・そうか。そういうことなのか。」

シャドウは何かが分かったかのような言葉を発するが、
周りの者にはそれが何なのかが分からない。

ヘルズ王「・・・何が分かったというのだ?」

シャドウ「お前が一番知っていることだ。この戦争がどうやって動かされてきたか・・・・・だ。」


続く

このページについて
掲載号
週刊チャオ第328号
ページ番号
173 / 231
この作品について
タイトル
シャドウの冒険3
作者
ダーク
初回掲載
週刊チャオ第158号
最終掲載
2012年9月6日
連載期間
約7年5ヵ月14日