第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 八十六話

~王の間~

ヘルズ王が初めて戦う気を見せる。
その瞬間には、もうシャドウは攻撃に移っていた。
先程見せたカオスレイよりも速く槍でヘルズ王を突く。
だがヘルズ王の反応はそれよりも速く、
体をひねって槍を避けるとシャドウを蹴り飛ばした。
シャドウは仲間達のところまで吹き飛ばされながらも受身を取って態勢を崩さない。
そして仲間達は、ヘルズ王が攻撃に転じた隙を狙い魔法などの遠距離攻撃を仕掛ける。

ヘルズ王「雑魚は黙っておけば良いのだ!」

すぐさまヘルズ王は態勢を整え、
目から魔法を出し、向かってくるもの全てを相殺した。
そして、シャドウ達の方を向き両手をかざして何かを詠唱している。
詠唱し始めてから魔法を発動するのは早かった。
シャドウ達がそれを詠唱と気付く前に魔法は発動された。
シャドウ、マッスル、ラルド、オリを除く仲間達は黒いクリスタルのようなものに包まれてフワフワと浮いている。
クリスタルに包まれた仲間達はピクリとも動けず、喋ることも出来ないようだ。

シャドウ「何だこれは・・・!」

その光景に驚愕を隠せないシャドウは、ヘルズ王を睨みつける。

ヘルズ王「私と戦うのに力不足の者達には黙っていてもらう。封印魔法というものだ。」

それを聞いてマッスルが不敵に笑う。
そしてヘルズ王を上目遣いで睨みながら言う。

マッスル「それじゃあ、この四人はお前と戦うのに力が足りている訳だ。」

その言葉で、ヘルズ王の顔が怒りのこもった笑いに歪む。

ヘルズ王「・・・調子に乗るな。飽くまで私と同じ土俵に立っただけ。実力の差は歴然だ!」

するとヘルズ王の手から、あの閃光がマッスルに向かって放たれる。
もちろん閃光の速さは、あの速さを売りにしていたフィムを一撃で仕留める程凄まじい。
それでも、マッスルはその閃光を上手く避けた。
ギリギリで閃光を避けれたというより、
閃光を放つ瞬間を読んで先に移動したのだろう。

ヘルズ王「何・・・!」

ヘルズ王は避けられたことに驚愕している。
閃光を放った手を前に突き出したまま固まっている。
そこを狙い、シャドウが飛び込んだ。
だが、ヘルズ王はニヤリと笑い、突き出された手からまた閃光を放った。
そう、隙をわざと見せたのだ。
だが、シャドウも予想していたのか、気付いた頃にはカオス・シャドウで離れたところへ移動していた。

ラルド「私にもやってみろ。」

ヘルズ王はラルドの声がする方を振り向くが、そこにラルドはいない。
それどころか、この部屋にラルドの姿を見つけられない。
理由は簡単だ。
ただ超スピードで動いているだけで、王の視覚では捉えられないのだ。

ヘルズ王(クッ・・・予想以上だ・・・!)


続く

このページについて
掲載号
週刊チャオ第325号
ページ番号
169 / 231
この作品について
タイトル
シャドウの冒険3
作者
ダーク
初回掲載
週刊チャオ第158号
最終掲載
2012年9月6日
連載期間
約7年5ヵ月14日