第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 八十四話
~王の間~
シャドウが起き上がり、余裕の表情を見せている。
まだブレドとガンダの手の内が見えただけのはずだが、
もはや空気がシャドウ達の勝利を感じさせるくらいシャドウ達のものとなっていた。
シャドウ「気絶しているふりをして、隙があればマッスル達のところへカオス・シャドウを使おうと思っていたが、
エイリアがこなしてくれた。そして、マッスル達が能力を見破ってくれた。本当に頼れる仲間達だろう?」
ブレド達に向けられた質問に、ブレドがゆっくりと答える。
ブレド「・・・そうだな。だが、私達もここで負ける訳にはいかない。」
ブレドは剣を構え、再びシャドウと対峙する。
そしてガンダもブレドの近くに来て、能力を共有する。
だが・・・・・・。
シャドウがスッと二人をすり抜けたかと思うと、二人は倒れ込んだ。
シャドウの速すぎる攻撃に何も出来ないまま。
シャドウが仲間達のところへ戻ってきた頃、
二人はふらつきながらも立ち上がり、シャドウ達の方を見る。
ブレド「・・・教えてくれ。私達は何をすれば良いのだ・・・?」
シャドウ「それは僕達が決めることじゃない。」
シャドウはハッキリといい、ブレドとガンダの様子を見続ける。
ブレド「ガンダ・・・。私達は負けたのだ。もう『やりたいこと』をやろう。」
ガンダ「・・・そうか。」
やりたいこと。
メカは自分の意志を持たない。
つまり、この二人はメカではなく、やはり意志を持ったチャオだった。
そして、二人は戦いの様子をずっと見ていたもう一人の三人衆、オリの父の方を向く。
オリの父も大きな威圧感を保ちながら無言で二人を見る。
ブレド「・・・聞きたいことがあります。」
ガンダ「貴方は・・・本当にヘルズ王なのですか?」
シャドウ達は驚く。
なんと、オリの父は三人衆であり、ヘルズ王でもあるというのだ。
そのことにオリが一番驚いていたが、その会話を見続けた。
そしてその父は、今まで見た事もないような悪意のこもった笑みを浮かべ、ブレドとガンダに言葉をぶつけた。
ヘルズ王「『今の』ヘルズの王は私だ・・・!」
その言葉をぶつけられた二人は、
驚いた様子もなくただヘルズ王を見続ける。
ガンダ「・・・そうか。」
ブレド「それならば私達の王へ最後の忠誠を誓おう。」
二人はヘルズ王に対し、戦闘態勢をとる。
ヘルズ王「洗脳するために意志を残しておいたが・・・。洗脳が解けていたとは・・・。」
ブレド「お前が私達の王がすることとは思えないようなことをするたびに、私達の王への想いが蘇ってきたのだ。」
ガンダ「ヘルズ王を侮辱した罪は、死で償ってもらおう。」
そして、ガンダの能力を持ったブレドはヘルズ王へ飛び掛った。
続く