第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 八十話

~王の間~

オリの強気な言葉に対しても、表情を全く変えないブレドとガンダ。
そして、そのままブレドは剣を振り上げる。
オリはそれに対して、見たこともない銃を二つ取り出す。
片方は緑の銃、もう片方は黒い銃。
オリはブレドが剣を振る前に、すぐさま緑の銃を撃った。
しかし、銃から出てきたのは弾ではなく竜巻だった。
竜巻はブレドとガンダを巻き込んで、少しずつ勢いを増していく。

オリ「シャドウ、みんなにオーラ・バリアを張っていてくれ。」

シャドウはオリの言う通り、仲間達にオーラ・バリアを張った。
そして次の瞬間仲間達は、その言葉の意味を知ることになる。

オリが黒い銃を竜巻に向けて撃つと、今度は黒い竜巻が先ほどの竜巻に重なった。
黒い竜巻は先ほどの竜巻の逆回転なのだが、明らかにただの風ではない。
オーラ・バリア越しでも分かる凄まじい引力。
大きな引力が渦巻いて全てを引き寄せようとしている。

元々竜巻に巻き込まれていたブレドとガンダは、
その反対の引力に身を引き裂かれそうになる。
対抗しようにも体の自由が利かず、ただ無抵抗にダメージを受ける。

オリ「風の竜巻を二つ放つと相殺してしまう・・・・・・。そして編み出したのがこの引力を利用する魔法銃だ。破ってみろ、ヘルズ三人衆。」

その自信に満ちた言葉は、仲間達にも自信を与えた。
だが、すぐにその自信は打ち破られてしまう。
フッと竜巻と圧力の竜巻が消え、ブレドとガンダが床に叩きつけられる。
オリだけでなく、仲間達も驚愕を隠せないでいる。

シャドウ(あの技は相当なものだった・・・・・・。それが何故・・・。)

そして、その竜巻を消した者の正体はすぐに分かる。
"また"手を前にかざして立っている、もう一人のヘルズ三人衆。
その男は無言で、自分の前に倒れている二人を見下ろす。

ブレド「・・・・・・まだ戦える。」

ブレドが喋ったかと思うと、倒れていた二人はゆっくりと起き上がる。
そして、尚も戦闘態勢を崩さない。
オリも慌てて戦闘態勢に移ろうとするが、少し遅かった。
ブレドの鋭い剣閃がオリの腹を掠める。
掠めるといっても、その鋭い衝撃は実際剣に触れていたところより深く斬れる。
オリは後ろに飛んで距離を取るが、ダメージが大きく体が思うように動かない。
それを見たエイリアがオリに回復魔法をかけるが、その行動がブレドの標的を変えることになってしまった。
凄まじい速さでエイリアの目の前にブレドが移動した。
剣を振りかぶっているが、横からマッスルが飛び蹴りをかまし、ブレドを吹っ飛ばして壁にたたきつけた。

マッスル「大丈夫か?」

エイリア「ぁ・・・うん、ありがとう。」

態勢を立て直すブレドだが、今の攻撃で大したダメージは与えられていないようだ。
ブレドはガンダのところまで戻り、また何かをしようとしている。
二人揃ったことで、明らかに1+1=3くらいの戦闘力が感じられる。

シャドウ「あの二人は揃うと厄介になるタイプか・・・・・・。あの二人を分けて戦うぞ!」


続く

このページについて
掲載号
週刊チャオ第318号
ページ番号
163 / 231
この作品について
タイトル
シャドウの冒険3
作者
ダーク
初回掲載
週刊チャオ第158号
最終掲載
2012年9月6日
連載期間
約7年5ヵ月14日