第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 七十九話
~王の間~
戦闘態勢に入ったシャドウ達に応えるように晴れていく部屋。
そこに"敵"は三人いた。
一人は映像で見た事があるあのブレド。
唯一映像と違うところは、体がメカになっていること。
もしくは、フィムと同じく、鎧を取り込んでいるだけなのかもしれない。
そしてもう一人は、ブレドをそのまま赤色にしたようなチャオ。
もうそれだけでシャドウ達はなんとなく分かってしまった。
この赤いチャオはヘルズ三人衆のガンダだろう、と。
だが、そんなことはどうでもよかった。
問題なのは、もう一人の"敵"だ。
ブレドとガンダよりも少し前に出ていて、
手を前に突き出してることからフィムを貫いた閃光を放ったのはこのチャオだろう。
それはもう一人のヘルズ三人衆、そしてオリの父だった。
オリは父に向かって言う。
オリ「もう・・・戻れないのか・・・・・・?」
オリの問いに対し、父は無表情で手を前に突き出したままだ。
その答えを受け止めたオリは、父"だった"者に銃口を向ける。
すると何故か、ブレドとガンダが前に出て守ろうとする。
ブレドは一本の青く細長い剣を取り出し、今すぐにでも斬りかかってきそうだ。
ガンダはその横で体を固めている。
そして間もなくブレドはオリに向かって剣を振りかぶってきた。
距離は変わらず遠いままだが、あのフィムと同じ三人衆だ。
この距離からでも攻撃が可能なのだろう。
それを分かっているオリは、ブレドが剣を振る前に銃の引き金を引いた。
このオリが引き金を引いた灰色の銃から放たれる弾は、ぶつかると強い衝撃が周りに広がるタイプのものだ。
以前メカチャオ達と戦った時とは違い対象は一体なので、
与えられるダメージは相当なものだろう。
だが・・・・・・。
オリの目の前には今、不自然な威圧感。
そしてゴァンという鈍い音と共に、その威圧感は消えた。
オリの周りにはシャドウが張ったオーラ・バリアがあった。
つまり音がしたということは、何かがオーラ・バリアに当たったのだろう。
それも、オリ目掛けて。
シャドウ「オリ、今撃ったものはあの赤いヤツに跳ね返されたようだ。」
シャドウは全てを見切って、絶妙のタイミングでオリにオーラ・バリアを張ったようだ。
オリは歯軋りをして、少し下がった。
ブレドが剣を振っていないことから、
ただ銃弾を誘うだけのために剣を振りかぶっていただけのようだ。
その無表情で恐ろしいことを淡々と行う二人に、オリは少しの恐怖を感じた。
だがオリは下がった足を、一歩前に出した。
オリ「俺はゼアス射撃隊のオリだ。ナメるなよ。」
続く