第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 七十七話
~ヘルズ城 一階~
階段を上がり、兵士の部屋に向かった時の通路を歩くシャドウ達。
先頭を歩くフィムは少し早足で歩くので、
シャドウ達も追いつこうと早足になる。
そして兵士の部屋を通り過ぎて少ししたところでシャドウ達は止まった。
フィム「これが王の間へと続く、転送装置です。」
内側(シャドウ達から見て右側)の壁にフィムが触れると、
壁が機械音を立てて開き、その中には転送装置が一つ。
フィムが言うには、
三階にある王の間へ行くにはこの転送装置しか手段がないそうだ。
そして、シャドウ達はゆっくりと転送装置に乗った。
~ヘルズ城 三階 王の間~
辿り着いた王の間は薄暗く、少し奥行きが長い部屋だ。
一番奥には王の椅子、部屋の壁には歴代の王の肖像画が飾ってある。
大理石の床の上にレッドカーペットを敷いてある。
いかにも王の間というような部屋だ。
そして、部屋に低い声が響き渡る。
「よく来た、フィムよ。そして、シャドウ・ザ・スピード。」
フィム「ただいま戻りました、王。」
どうやら声の主はヘルズ王のようだ。
そして、ここに来ることが分かっていたようかの王の言葉に、シャドウが尋ねる。
シャドウ「僕達がここに来ることは分かっていた?」
ヘルズ王「もちろんだ。そして、目的も分かっている。」
シャドウ「ならば話は早い。この戦争を終わらせてくれ。」
ヘルズ王「戦争とは勝者と敗者が決まって終わるもの。それは出来ない。」
そして、しばらくの静寂。
空気は冷たく、緊張感を漂わせている。
ヘルズ王「・・・だが、もう終わりになるだろう。」
その不可解な言葉に、シャドウは顔を険しくした。
シャドウ「・・・何故?」
ヘルズ王「強力なミサイルが我々の手に入るからだ。」
その驚くべき言葉に、今度はフィムが一歩前に出て言う。
フィム「王!昔の貴方は何処へ行ってしまってのですか!今、戦争を終われせば損害は小さく済むのです!」
ヘルズ王「フィムよ・・・。戦争とは勝って得を手にするものだ。損がないだけでは意味がないのだ。そして、その得を妨げるものは消す。」
すると、部屋の奥からパッと光が見えたと思うと、
一筋の閃光がフィムを貫いた。
フィム「・・・!」
フィムは無抵抗に床に倒れた。
シャドウ「フィム!」
続く