第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 七十六話
~ヘルズ城 地下一階~
部屋を出たシャドウ達は動きを止めた。
フィムもピタリと止まった。
この大きな広間に流れる違和感。
階段が少しブレて見えた時、シャドウ達は確信した。
今度は、この大きな広間に映像が流れているのだ。
だが、今までと違うところが一つあった。
フィム「な、何故床がブレているんですか・・・!?」
そう、今度はフィムにも見えているのだ。
それに気付いたシャドウはフィムを呼び寄せ、静かにするように言った。
シャドウ「これから、何か大事なことがこの広間に流れる。よく見ていてくれ。」
そして、広間に変化が現れ始めた。
上の階から慌ただしく階段を下りてくるチャオ。
それは、フィムだった。
それを見た本物のフィムは、驚きを隠せなかった。
もう一人の自分がいることにではない。
この光景に心当たりがあったからだ。
フィム(こ、これは暗黒事件の日・・・・・・!)
そして、映像のフィムは勢いよく暗闇の部屋に入っていった。
それとほぼ同時に、もう一人階段から苦しそうに下りてきた。
それはあの青い鎧のチャオだった。
そのチャオは食堂へ足を引きずりながら向かっていった。
すると、突然階段の上の方から青い鎧のチャオを追いかけるように黒い球体のモヤモヤが飛んできた。
その黒い球体が青い鎧のチャオに触れる、と思われた瞬間、映像は終わった。
シャドウ「・・・・・・フィム、何か分かる事はあるか?」
フィム「・・・今のは暗黒事件の日の出来事です。先ほどの青い鎧を着たチャオは、三人衆のブレドです。」
シャドウ「暗黒事件の日の出来事が何故・・・・・・。」
フィム「私があの日、暗闇の部屋に入った時間はほんの少し・・・・・・。部屋から出たら、ブレドが『騒ぎは終わらせた。余計な手間をかけて悪かったな。』と・・・・・・。まさか、ブレドにあの黒いものが乗り移って・・・・・・!?」
シャドウ「・・・・・・全てを確かめに、王の部屋へ行こう。」
焦りや困惑に襲われ、震えていたフィムはシャドウの言葉で少し落ち着いた。
フィム「・・・・・・はい。行きましょう。」
続く