第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 七十四話
~魔法空間~
フィムは仰向けになったまま言う。
フィム「私は・・・・・・負けたのですか。」
それに対し、シャドウはフィムに近付いて応えた。
シャドウ「あぁ、お前は戦いに負けた。だが、お前は人生の壁を壊した。」
シャドウが言いたいことは、フィムには伝わった。
それでもフィムは一息ついて小さく漏らした。
フィム「そう・・・・・・でしょうか。」
今のフィムには、兵士の誇りを忘れて行動していたことが恥じることと思えるのだ。
誇りを思い出したことが壁を壊したことなのは分かっている。
だが壁を壊したからといって、その時の行動はしっかり世界に刻まれているのだ。
そんな自信をなくしているフィムを見たシャドウは、また声をかける。
シャドウ「お前はせっかく壁を壊したのに、壁の向こう側へ行こうとは思わないのか?」
フィムは少し回復したのか、上体をゆっくりと起こして答えた。
フィム「行きますよ。」
その言葉にシャドウはフッと笑い、頷いた。
そしてエイリアが、フィムに水の魔法をかけて回復させた。
フィムは立ち上がり、何やら魔法空間の奥へと歩き始めた。
何をするのかとシャドウ達が思うと、フィムは手元で何かをした。
すると魔法空間が消え、普通の部屋になったではないか。
フィムがいるところには、大きな装置が置いてある。
その装置で部屋を魔法空間にしたり、普通の部屋に戻したりするようだ。
そして、フィムは覚悟を決めてシャドウ達に尋ねる。
フィム「やはり、王を倒しますか・・・?」
シャドウ「話が通じないようならそのつもりだ。」
フィムは沈黙し、下を向いている。
そして、ゆっくりと口を開く。
フィム「すべてを、話しましょう。」
続く