第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 七十二話
~魔法空間~
ラルドはフィムの姿が見えていない仲間達のために、
まずはフィムのスピードを落とそうと考えた。
水中でのスピードや能力はメンバーの中でトップのラルド。
いくらスピードが売りのフィムといえど、ラルドのスピードには敵わなかった。
ラルドは凄まじい勢いでフィムに突撃し、後ろからタコのように手足を絡ませた。
フィムは驚きラルドを振り払おうとしたが、ラルドはガッチリとフィムを捉えており離れない。
しかも、手足を固められて動くこと以外何も出来ない。
格闘技、水中戦が得意なラルドだからこそ出来ることだろう。
だが、もともとのラルドの目的はフィムの動きを止めること。
フィムは動いてラルドを振り払おうとするので、それは結果として良くはなかった。
依然、他のメンバーは何も出来ないので、攻撃できるその瞬間を待ちつづけるばかりだ。
ラルドはフィムに絡みつきながらも、思考を巡らせる。
行き着いた結果は、単純なものだった。
ラルドは絡みついたまま、フィムに向かって気の弾を連発した。
フィムは何も出来ずにダメージを受け続けるのだ。
気弾の勢いがフィムと密着しているラルドにも伝わってきたが、
明らかにフィムの方が劣勢なのはラルドも分かっているのでやめようとはしなかった。
フィム「や、やりますね。深海の帝王・・・・・!ですが!」
フィムはスピードを上げ、腕が動かせないので体ごと剣を振った。
剣からは衝撃波が放たれ、フィムは衝撃波の先に回りこんで衝撃波に向かって突っ込む。
ラルドは舌打ちをして、フィムから離れた。
フィムはラルドが離れた後、衝撃波を避けて動きを止めた。
フィム「やっと離れましたか・・・・・。」
フィムは体力を消耗し、少し疲れているようだった。
だが、ラルド達に狙われる前にまた超スピードで動き始めた。
スピードは若干落ちているが、それでもまだ速い。
ラルドがフィムに向かって再び突っ込んでいく。
今度はフィムと正面から向かって行った。
フィムは向かってくるラルドを斬りつけようと剣を振る。
ラルドは軽く避け、フィムの腕を掴んでナイツ達がいる方へ投げ飛ばした。
待ってましたと言わんばかりにナイツ達は行動を始めた。
飛んでくるフィムを、まずナイツが蹴り上げる。
フワッと浮いたフィムに、ラインが剣を振った。
が、フィムは剣を剣で弾き、ラインを蹴り飛ばした。
その隙にエイリアが後ろからフィムに向かってバードレーザーを放つ。
フィムはぶつかる寸前で振り向きつつ剣を振り、衝撃波でバードレーザーを相殺させた。
さすがのフィムも、ここまで来ると追いつくのがやっとのようだ。
次に来たエイリアの魔法の弾は直撃した。
フィムは距離を取り、剣を構えるが肩で息をしていることからダメージはかなりあるようだ。
フィム「クッ・・・・・。信じられませんね、120%くらい力を出せているというのに、まだ私が劣勢だなんて・・・・・。」
フィムが手元で何かをすると、部屋に床が出来た。
浮いていた仲間達は足を地につけた。
フィム「ですが私も負けるわけには行きません。130%、行ってみましょう。」
フィムは戦闘態勢に入るが、明らかにダメージが大きい。
シャドウ「・・・・・もうやめろ。」
シャドウの言葉で、その場の雰囲気は戦闘の雰囲気ではなくなった。
フィムの周りの空気だけがピリピリしている。
フィム「まだだ・・・・・。」
フィムは剣を振りかぶり、シャドウに突っ込んできた。
続く