第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 七十話

~魔法空間~

底力を見せつけたフィムは、
まだまだ闘志を燃やし続けている。

フィム「防御をせずに攻撃を続けられる能力は、とても快感でした。ですが、この能力に溺れた私は力の衰えに気付くのが遅れてしまった。これからが本当の私だ・・・・・!」

フィムはシャドウ達から離れ、うなり始めた。
次の瞬間、シャドウ達は驚いた。
なんと、フィムの体から緑色の鎧が出てきたではないか。
それはあの暗闇の部屋の映像で見た、フィムの鎧。
そして、フィムの体は元の緑のチャオの体となった。

フィム「攻撃のブレド、防御のガンダ、そして素早さのフィム。これがヘルズ三人衆の私の本質。こんな液体金属など、体を重くして私を殺すだけ。」

この緑色の鎧はフィムの液体金属の秘密。
何かがきっかけで体に取り込むことになり、能力を得ていたようだ。
だが、フィムはその鎧を棄てた。
液体金属という能力なしで、シャドウ達に挑もうとしているのだ。

今までは液体金属という能力が売りだと思っていたシャドウ達は、
その目の前のフィムに驚きを隠せなかった。
最初から感じていたプレッシャーは、
能力を棄てたことによって減るどころか強くなっている。

フィム「行くぞ!」

フィムの気迫を込めた声にシャドウ達は、
驚いて戦闘態勢に入ったが遅かった。
気が付けばラルドは顔面を蹴り飛ばされていた。
少し後ろの方にいたシャドウのところまで飛ばされたラルドだったが、
すぐに起き上がった。

ラルド「私は大丈夫だ!行くぞ、みんな!」

ラルドの大声でシャドウ達は我に返った。
ナイツが素早く空中に飛び、フィムに向かって風圧弾を連発しようとした。
だがナイツの目に映ったのは、たくさんのフィムの残像。
風圧弾を打ち損なったナイツに向かって、全ての残像から剣の衝撃波が飛んでくる。
それを見たシャドウがナイツにオーラバリアを張るが、
それでも少しダメージを受けたナイツは空中から落ちてきた。
ナイツはすぐに立ち上がり、間合いを取った。

残像が消えてフィムが見えるようになった瞬間を逃さなかったマッスルは、
気の弾をフィムに向かって放った。
気の弾も相当スピードがあったが、フィムの方が数段速かった。
気付けばフィムはマッスルの懐にいた。
フィムはマッスルの腹を思い切り殴ったが、
マッスルはダメージを受けながらも腹でパンチを受け止め、フィムの手を掴んだ。

マッスル「いてぇじゃねえか!」

マッスルはフィムの腹を殴り返した。
フィムは吹っ飛んだが、やはりすぐに起き上がり剣の衝撃波を放った。
マッスルが撃墜体制に入るが、なんとフィムは放った衝撃波より先にマッスルに近づき、剣で切り上げてきた。
マッスルはバック転のような形で飛ばされ、床に叩きつけられた。
剣での攻撃だったのでマッスルは斬られたと思われたが、
どうやら自分から後ろに飛んだらしく、浅く斬られただけで済んでいた。

フィム「グゥ、その拳効きましたね・・・・・。」

マッスル「でも今の攻防は俺が負けてた。次は負けねぇぞ?」

フィム「誉めて頂いて光栄です。」

するとフィムはまた超スピードで残像を残し、マッスルの懐へ入った。
しかも今度は切りかかってきたのではなく、剣で突きをしてきた。
だが今度はマッスルの反応の方が速かった。
体から気を放出し、フィムを遠くへ吹き飛ばした。
だが吹き飛ばしただけなので、大したダメージがないフィムは起き上がり、今度はエイリアに標的を変えた。

エイリア「私をナメないでね!」

フィムは凄まじいスピードでエイリアに斬りかかったが、
斬られたエイリアはバシャンと音を立てて水となった。

フィム「これは!?」


続く

このページについて
掲載号
週刊チャオ第306号
ページ番号
153 / 231
この作品について
タイトル
シャドウの冒険3
作者
ダーク
初回掲載
週刊チャオ第158号
最終掲載
2012年9月6日
連載期間
約7年5ヵ月14日