第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 六十九話
~魔法空間~
部屋の外から中を見た光景と同じ光景が、
ただただ周りに広がっている魔法空間。
見えないが、足場はあるようだ。
そして、その先にはフィムが一人待ち構えていた。
その表情はとても落ち着いている。
が、その目には強い闘志が宿っていた。
フィム「・・・・・来ましたね。」
今までのフィムとは明らかに違うプレッシャーに、
シャドウ達は警戒心を強めていた。
そして、フィムの次の言葉を待った。
フィム「私の兵士としての、そしてヘルズ三人衆としての誇りを全てかけましょう。」
フィムは液体金属ではない、
おそらく使い慣れていると思われる剣を手に取った。
それに応えるかのように、シャドウ達も武器を手に取った。
そして、戦いは始まった。
先手を取ったのはフィムだ。
離れた距離から剣をすばやく振った。
剣からは速い衝撃波が飛び出し、シャドウに当たった。
ように見えたが、シャドウは槍を振り、目の前で消滅させていた。
そしてシャドウの後ろの方からナイリアが、
隼のごとく鋭く飛んでくる魔法のレーザー、バードレーザーをフィムに向かって放った。
それに対しフィムは、
剣の面を相手に向けるようにしてレーザーを剣で跳ね返した。
シャドウ達はそのレーザーを避けようと、バラバラに分かれた。
フィムはその瞬間を逃さず、バウスに切りかかった。
バウスは戦闘が出来ないので、
目を瞑ってしゃがむことしか出来なかった。
フィムの剣がバウスを捕らえようとした瞬間、
発砲音と共にフィムが吹っ飛んだ。
発砲したのはラインとオリの二人だった。
ライン「あ、危ないところだった・・・・・。」
オリ「なんて野郎だ・・・・・。今までとは違うじゃないか・・・・・。」
その間にもすぐさまフィムは立ち上がり、
もう一度バウスに切りかかった。
だが今度はシャドウがバウスにオーラバリアを張り、
剣がバウスに触れることはなかった。
それを理解したフィムはすぐにバウスから標的を外し、
ラルドへと標的を変えた。
今度は剣を三回素早く振り、
先ほどの衝撃波を三発放った。
それも、シャドウに放った時よりもスピードが上がっている。
だがラルドのスピードも負けてはいない。
素早く衝撃波に向かっていき、拳を突き出して衝撃波を三つ放って相殺させた。
そしてその勢いでフィムの懐まで近づいた。
ラルド「消えろ!」
ラルドの全力のパンチがフィムの顔面を捉えた。
液体金属となって飛び散るかと思われたが、
フィムは硬い金属のまま吹き飛んだ。
ラルド「か、硬い・・・・・。」
ラルドの拳は少し傷ついた。
その分、フィムにもダメージを与えたようだがフィムはまた起き上がった。
フィム「まだだ、私はまだ終わらない。」
そしてこの後、
フィムの言う通り底力は尽きなかった。
続く