第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 六十五話
~ヘルズ城1階~
階段を駆け上ったシャドウ達は
フィムを視界から外すまいとすごい勢いで追った。
地を這うように進むフィムは
シャドウ達のスピードには到底及ばずすぐに追いつかれた。
シャドウ達は色々な魔法でフィムを攻撃し、
ダメージを着々と与えている。
フィムは勿論それを嫌がり、左にあった通路に向かって逃げる。
左の通路は入ってから常に右曲がりで、
進めば最終的には一周周ってまた階段を上りきったところへ戻ってくるようだ。
右の方の通路は常に左曲がりに見える。
だが城の分析などしている場合ではない。
シャドウ達はフィムに魔法でダメージを与え続ける。
するとフィムは猛攻を耐えながらも、
通路の右側にあった近くの扉の隙間から部屋の中へ入った。
シャドウ達もそれを見て、扉を勢いよくぶち破った。
~ヘルズ城1階 兵士の部屋~
部屋はモノクロの世界のようだった。
色を失い、ベッドや鎧をしまうクローゼットなどは
触ったら崩れてしまう灰のようだった。
そしてシャドウ達が部屋に入ったとたん周りは静まり返り、
フィムが見えなくなった。
初めはうちは状況が分からなかったシャドウ達だが、
食堂や厨房に入った時の雰囲気と似ていたのでまた映像を待った。
しばらく待つと部屋は色付いてきて、
至って普通の部屋に見えるようになった。
だが、食堂や厨房の時と違うのは声が聞こえてこないのとチャオが見受けられないというところだ。
そして何も変化がないか、と仲間達が思い始めたころ、
映像の後ろの扉がゆっくりと開いた。
驚いて後ろを見ると、そこにはあの青い兜と青い鎧を着たヘルズ三人衆の一人のチャオ。
三人衆の一人「ぐぅ、こんなときに兵士達はどこに・・・・・そうか!今は食事の時間か・・・・・!食堂へ急がなくては・・・・・。」
苦しそうな三人衆のチャオは部屋を出て行った。
そして部屋を出て行って10秒くらい経つと部屋が暗闇に包まれた。
シャドウ達は驚いたが、気付くともう既に映像は終わっており、
元のモノクロの部屋に目の前にはチャオ型のフィムがいる。
フィム「ぐぅ、よくも・・・・・。」
フィムのダメージは大きいようだ。
が、シャドウ達がとどめをさそうと魔法を放とうとするが魔法が出ない。
シャドウ「ま、またか・・・・・!」
その様子を見たフィムの表情にはまた余裕が出てきて戦闘態勢に入った。
フィム「くく、私にもまだ勝機がありますね・・・・・!」
続く