第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 六十三話
~ヘルズ城地下一階 厨房~
液体金属に操られたナイツは、
マッスルに向かって突っ込んできた。
マッスル「何で俺に来るんだよ・・・・・!」
ナイツは仲間なのでマッスルは反撃できない。
ナイツをかわして距離を取るだけだ。
他の仲間達もナイツを攻撃せずに
どう攻撃して良いかを悩んでいる。
前の部屋で学んだ、
液体金属は打撃系の衝撃では壊せない。
だが、ある程度は突き抜けてしまう。
ナイツから液体金属を引っぺがすには、
やはり斬り離すのが一番だがリスクが大きい。
そんなことを考えている間にも、
液体金属の武装に包まれたナイツは攻撃を仕掛けてくる。
ナイツは今度はラルドに向かって突進してきた。
ラルド「みんな、私がナイツを食い止める。その間に良い案を考えてくれ。」
ラルドはナイツの突進を両手で止めた。
シャドウ「ラルド、大丈夫か?」
ラルドはナイツを突き放して言う。
ラルド「大丈夫だ。ナイツの力ではなくて、所詮は液体金属が無理矢理ナイツを動かしてるに過ぎない。」
シャドウ「という事は頭を洗脳していると言うわけではないか・・・・・。」
ナイツはシャドウに向かって突進したが、
素早いラルドに回り込まれてまた突き放された。
ナイリア「だから父さんは自分の魔法を使ってこないのか・・・・・。」
そのナイリアの言葉にシャドウは反応した。
シャドウ「魔法、か・・・・・!」
シャドウはエイリアを見た。
エイリアも頷き、また突っ込んでくるナイツに向かって弱い水の柱を放った。
水の柱はナイツに弱々しく当たった。
ナイツ自身に殆どダメージはないようだが、
液体金属が水と同化して少しずつ飛び散っていく。
それを見た仲間達は弱い水の魔法をナイツに浴びせた。
ナイツに付いていた液体金属はすぐに水溜りへと化した。
エイリアはその水溜りを見て、
念には念を押して水溜りを凍らせた。
するとナイツを看ていたシャドウが言う。
シャドウ「大丈夫だ。気を失っているだけのようだ。もうすぐ起きるだろう。」
その言葉通り、ナイツはすぐに目を覚ました。
ナイツ「・・・・・あ、あれ?ここどこ?」
心配していた仲間達はフッと力を抜き、ナイツの近くに集まった。
シャドウ「ここはまだヘルズ城の一室だ。それで・・・・・。」
マッスル「この部屋の出口の扉の鍵が、ナイツの腹ん中にまだ入ってるんだよ・・・・・。」
ナイツ「え!?」
驚いているナイツに落ち着いて状況を話すが、
自分の腹の中に鍵があると言われてもナイツはどうしようもないのでうろたえるばかりだ。
シャドウ「水を大量に飲ませて吐き出させよう。これが一番良いだろう。」
ナイツは青ざめた顔をしていたが、
そんなことには構わず、この後は苦しい目に遭うのだった。
続く