第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 六十二話

~ヘルズ城地下一階 厨房~

二人を追って入った部屋は、
どのようなものが置いてあったかが
かろうじて分かるくらいに黒焦げになっている厨房だった。

またこの部屋でも、
フィムの姿は見られなかった。

ナイツも見当たらず、
静寂がその場を包んだ。

するとまた、
少しずつ音が聞こえてくるのと同時に、
薄っすらとコックの姿をした何人かのチャオが見え始めてきた。

この焼け焦げたキッチンも、
薄っすらと使える頃の姿がダブッて見えるようになった。

薄っすらと見えるコック達は、
先程の食堂で見られたものと同じものを作っているようだ。

コック長「おい、早く食堂に運んでこい。」

コック長と思われるチャオが、
周りのチャオ達に作ったものを食堂に運ぶように言った。

周りのチャオ達も急いで隣の食堂に通じる扉から食堂へ向かって行く。

因みにそのドアは焼け焦げている状態では、
倒れた冷蔵庫などの大きなものに塞がれて見えない状態になっている。

そしてしばらくすると、
扉に向かっていったチャオ達が後ろ向きで
そのまま後ずさりをしてきた。

数人が並んで扉に向かっていったところ、
前のチャオが後ずさりをしてきたので後ろも押されるように後ずさりしてきたようだ。

そして一番後ろに並んでいたチャオが前に押されて倒れた時、
コック長も異変に気付いた。

何やら食堂の方が騒がしい。

だがそうコック長が思った時には遅かった。

何か黒い影が突然食堂の方から飛び込んできた。

シャドウ達も驚いて目を凝らしたが、
映像自体が乱れているのでハッキリ見えない。

そして映像はそこで途切れてしまった。

今目の前には液体金属に包まれたナイツとフィムがいる。

フィム「チッ、計算外ですね。」

やはりフィムには見えていなかったらしい。

そして慌てていることから、
シャドウ達が入って映像を見ている間は、
実際の時間は進んでいないらしい。

シャドウ達は映像が気になるのを振り払い、
目の前のことに集中した。

シャドウ「ナイツ・・・・・。悪かった、今すぐ助ける。」

シャドウは槍を取り出した。

仲間達も全員戦闘態勢に入った。

フィム「まぁ、いいでしょう。こういうアイデアもありですね。」

するとナイツを包んでいる液体金属は、
兜や鎧のような形になりナイツに装備された。

ナイツは気を失っていて、
鎧に支えられて立っているようなものだ。

そしてフィムは恐ろしいことに、
この部屋の鍵と思われる鍵をナイツの口の中に入れてしまったのだ。

エイリア「お前、何やってるんだ!」

エイリアは水の柱をフィムに向かって放ったが、
上手く避けられたどころか、
食堂へ通じる扉に液体となって逃げられてしまった。

そして気付くとナイツは気を失ったまま、
戦闘態勢に入っている。

フィムの液体金属に操られているのか、
矛先はシャドウ達のようだ。

シャドウ「厄介なことを・・・・・!」


続く

このページについて
掲載号
週刊チャオ第298号
ページ番号
145 / 231
この作品について
タイトル
シャドウの冒険3
作者
ダーク
初回掲載
週刊チャオ第158号
最終掲載
2012年9月6日
連載期間
約7年5ヵ月14日