第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 六十一話
~ヘルズ城地下1階~
部屋を出ると、
またもや水溜りのようなフィムが待ち構えていた。
フィムは水溜りのまま不気味な笑い声を発した。
フィム「クク、やはりあの程度では簡単でしたか。」
水溜りの状態のまま話すフィムに対し、
シャドウが挑発気味に言った。
シャドウ「普通の状態に戻ったらどうだ。すぐ逃げられる状態じゃないと僕達と対峙できないか?」
だがフィムは至って冷静だった。
フィムは普通のチャオ型に姿を変えた。
フィム「そんなことある訳がないでしょう。あっちの方が私としては脱力できて楽なんですよ。」
フィムはまた不気味に笑うと、
グニュンとまた水溜りのような姿に変わった。
シャドウは、
フィムのよく分からない行動と言動を不審に思い、
フィムの真意を探ろうとした。
その様子を見たフィムは大きく笑った。
シャドウ「何なんだ・・・・・?」
フィム「ハッ!まだ気付かないのですか?」
すると突然、
シャドウ達の頭上でボチョンという、
水に何かが落ちたような音がした。
その音に気付きシャドウ達が上を向くと、
先程と同じような液体金属に包まれたナイツがいた。
シャドウ「ナイツ!」
驚く仲間達。
だが驚いているのは仲間達だけではなかった。
フィム「クッ、何だヤツは!?」
フィムは不本意そうだったが、
ナイツが入った液体金属を率いて素早く隣の部屋に逃げ込んだ。
どうやらフィムは、
シャドウ達全員を液体金属で包み込むつもりだったらしい。
だが溜めていた液体金属が上から落ちてくる微かな音にナイツだけが気付き、
間一髪のところで仲間を守るために自分を犠牲にして上に飛んだようだ。
なのでナイツだけが液体金属に包まれたのは、
フィムは不本意だったのだ。
その早い展開にシャドウ達は混乱していたが、
すぐにフィムとナイツを追った。
続く