第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 五十八話

~ヘルズ城地下1階 食堂~

部屋に響く声は、
呆然としているシャドウ達などおかまいなしに次々と増えていく。

そして、
その声が数百くらいではないかと思われた頃、
今度はその声の正体が薄っすらと姿を現し始めた。

イスに座り食べ物を食べているチャオ、
テーブルの間を自分の分の食べ物をこぼさないように運んでいるチャオ、
隣のチャオとお喋りしているチャオなど、
想像以上の数のチャオが半透明で見える。

すると自分の分の食べ物を運んでいるチャオが
シャドウ達の方へと歩いて来た。

シャドウ達の前には、
イスに座って食べ物を食べているチャオがいるので避けられない。

だがそんな心配をよそに、
そのチャオはシャドウ達を透き通って歩き続けた。

シャドウ「やはり映像か・・・・・。」

仲間達も同じことを想像していたらしい。

映像という言葉で納得していた。

よく見ると、
ところどころにノイズが入っている。

シャドウ「これは何かのヒントなのだろう。一応見ておこう。」

シャドウの言葉に仲間達は頷いた。

しばらくこの映像を見ていると、
突然シャドウ達が入ってきた後ろの扉が勢いよく開いた。

そこには青い兜と青い鎧を着た一匹のフラついた兵士。

そのチャオを見た瞬間、
オリが凄い形相で口を開いた。

オリ「お前は、三人衆の一人!」

しかし、
そのチャオも半透明でところどころにノイズが入っている。

三人衆の一人「に、逃げろ・・・・・。」

その三人衆のチャオの言葉と共に全ての映像が消えた。

そこは入ってきた時と同じ、
イスとテーブルしかない部屋。

後ろの扉は閉まっている。

そしてテーブルの上にはフィムと思われる水溜まり。

シャドウ「今の映像から何かヒントを掴めというのか?」

するとフィムはテーブルの上で、
チャオ型に変形した。

フィム「映像?何のことですか。」

シャドウは言葉を返そうと思ったが、
フィムの様子からして嘘をついているとは思えない。

映像はフィムには見えていないということから、
何者かが自分達にだけ見せたもの、
何か自分達にだけ伝えたいことがあると判断して話を切り替えた。

シャドウ「それで、どうやったらこの部屋を出れるんだ?」

フィムは微笑を浮かべ、
鍵をどこからか取り出した。

フィム「この鍵を使えばこの部屋を出られます。そう簡単には渡しませんがね。」

フィムは大きな丸い液体金属を作り出し、
その中に鍵を入れた。

フィムは水溜まりになって、
シャドウ達を上手く避けて扉の小さな隙間から出て行った。

シャドウ達の目の前にある液体金属はそう簡単には打ち破れそうにない。

シャドウ達はどう打ち破るかを話し合い始めた。


続く

このページについて
掲載号
週刊チャオ第290号
ページ番号
141 / 231
この作品について
タイトル
シャドウの冒険3
作者
ダーク
初回掲載
週刊チャオ第158号
最終掲載
2012年9月6日
連載期間
約7年5ヵ月14日