第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 五十七話
~ヘルズ城下町~
動く水溜まりのようなフィムを追いかけ、
辿り着いたのは城下町の最深部。
山が目の前に来るほど城下町の端の方だ。
そしてそこには、
何やら虹色の小さな土台のようなものが1つ。
フィムはその土台の前で姿をチャオの形に変え、
その土台に乗った。
するとシャドウ達の目の前でフィムは一瞬にしていなくなった。
そしてシャドウ達は土台の前で止まった。
シャドウ「これはおそらくヘルズ城への転送装置だろう。」
仲間達の間に緊張が走る。
オリ「やっと、か。この戦争を終わらせられる。」
ラルド「この先での戦いで打ち勝たなきゃいけないけどね。」
仲間達の緊張は、
少しずつ集中力へと変わり始めている。
そしてシャドウが一息つくと、
仲間達の覚悟も決まったようだ。
シャドウ「行こうか。」
シャドウ達は土台に乗った。
~ヘルズ城~
転送された先は、
薄暗い城の大きな入り口の前。
城の周りは黒い霧で覆われており、
レイシアの家のように大きさに果てがないような錯覚が起きる。
しかし覚悟を決めたシャドウ達に、
そんなものは脅しにもならなかった。
シャドウ達は、
入り口へ入って行くフィムを見つけ追いかけた。
入り口に入ると、
一歩目は下に吸い込まれるような感覚があった。
どうやら地下への階段のようだ。
~ヘルズ城地下1階~
階段を下りきるとそこは大きな広間だった。
階段を背にして左側の壁に扉が二つ、
正面には大きな上へと向かう階段、
右側の壁にはドアノブのない扉が二つある。
シャドウ達は、
また液体化して地を這うように進むフィムを追い、
左側手前の扉へと入った。
扉の中は大きな食堂のようだ。
細長いテーブルが3列あり、
イスがたくさん並べてある。
仲間達が全員はいると、
扉は固く閉ざされてしまった。
そして何故かフィムの姿が見当たらない。
シャドウ「どうにかしないと進めないようだな。」
すると部屋に何者かの声が響いた。
「今日の食事は何だろうな。」
「今日は×××の×××じゃなかったか?」
「アレか。アレは上手いんだよなー。」
声は次々と増えていき、
誰もいないはずの食堂は賑やかな声で包まれていった。
シャドウ「これは・・・・・?」
続く