第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 五十六話
~ヘルズ城下町~
一斉に向かってくる銃弾よりも早く、
シャドウは自分の気で仲間達を包んだ。
そう、オーラバリアだ。
銃弾はシャドウの気に触れた瞬間、
勢いをなくして地面に散らばった。
今のシャドウのオーラバリアは、
固い壁のようなものではなく、
大きな圧力の膜のようなものだ。
向かってきたヘルズ兵もバリアの中へは一歩も立ち入れない。
フィムはどうしようも出来ないヘルズ兵を見て苛立っていた。
かと言って、
バリアの中にいるシャドウ達に突っ込んでいくのは危険なのを知っているので迂闊に行動できない。
するとその隙を突いたナイツは上空に舞い上がり、
沢山の小さい風圧弾でヘルズ兵にダメージを与え転倒させた。
ナイツがオーラバリアを抜け出せたことから、
オーラバリアにはシャドウの意思が働いているようだ。
するとフィムは飛び出たナイツの方を向いた。
フィム「おとなしくしていれば良かったものを。」
ナイツは危険を察知し、
急いでオーラバリアの中に戻ろうとしたが、
フィムの液体金属の体の一部が飛んできて打ち落とされてしまった。
それを見たエイリアは急いでナイツのもとへ駆け寄った。
エイリア「ナイツ君!」
だがフィムはそれも見逃さなかった。
フィムはもう一度、
ナイツを打ち落としたものと同じものをエイリアに向かって飛ばした。
しかし今度はエイリアにもどんなものが来るか分かっていたので、
水の魔法で水の塊を作り、液体金属を止めた。
フィム「厄介な・・・・・!」
今度はオーラバリアの中に戻すのを許してしまったフィムはさらに苛立った。
フィム「お前ら、起きろ!」
フィムは倒れていたヘルズ兵達に大声を出した。
倒れていたヘルズ兵は次々と起き上がっていく。
それを見たシャドウは、
何を思ったのかオーラバリアを解いた。
フィム「今だ、撃てぇ!」
シャドウ「もう、こんなことには付き合っていられない。」
シャドウは凄まじいスピードで動き、
一瞬にしてヘルズ兵達を槍でなぎ払った。
今度こそ戦闘不能になったヘルズ兵達と、
一人立ちすくむフィムがその場に残っている。
ラインとオリは銃口をフィムに向けた。
しばらくの沈黙の後フィムは口を開いた。
フィム「これはこれは。やはり、雑魚共では止められませんでしたか。」
フィムは薄ら笑いを浮かべると、
液体になって何処かへと行ってしまった。
シャドウ「追うぞ。」
そして、シャドウ達はフィムを追っていった。
続く