第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 五十四話
~デビトタウン~
シャドウ達に話し掛けてきたチャオ。
それはなんと、あのサーカス場にいた従業員風のチャオだった。
従業員風のチャオは、少し息切れしてることからどうやら走ってシャドウ達を追いかけてきたようだ。
リア「その証言者を私にやらせてください。私、リアと言います。」
リアの予想外の言葉に、シャドウ達は驚いている。
それを見たリアは、自分の今までのことを話し始めた。
自分は動物が好きで、何とか動物に近づける仕事をしようとサーカスの従業員になったこと。
団員達がしつけや怪我と称して、動物達を虐待していること。
それをバラしたりしたら殺すと団長に脅されたこと。
そして、今日でそれを終わらす決心がついたこと。
エイリア「そうだったんだ・・・・・。」
シャドウ「虐待に関わらずに、一番近くで見ていた証言者だ。頼りになる。」
リアは頷くと、サーカス場に入っていった。
それに続き、シャドウ達もサーカス場へと入っていった。
~デビトタウン サーカス場~
サーカス場に入ってから、地下室に行くまでは早かった。
そして、団長が近づいてくる。
団長「今度はなんだ?」
エイリア「証言者を連れてきました。」
そして、リアがシャドウ達の後ろから現れると、団長の目に少し怒りが見えた。
リア「貴方達が動物虐待をしているのは、私が一番知っています。」
すると、団長の後ろにいる団員達が騒がしくなり始めた。
団長は少し考えた後に、シャドウに向かって言った。
団長「・・・・・リアがウソをついていない、という証拠は?」
すると、シャドウは即答した。
シャドウ「そちらがウソをついていない、という証拠は?疑われているのはそちらだが。」
団長の焦りは見え見えだった。
後ろの団員の中には、近くに置いてある鉄の鞭や棒を手にしようとしている団員もいた。
そして、遂に団長は仮面を外した。
団長「もう面倒だ。最初から、お前らが此処で消えれば済む話だったんだ。殺しはしたくなかったが、しょうがない。」
その言葉に、シャドウの目が一気に鋭くなった。
シャドウ「殺すだと?」
その気迫に、団長や団員達はおろか、仲間達も少し圧されていた。
それでも団長はおろかなことに、言った。
団長「は、早く殺っちまえ、みんな!」
団長は後ろから雄叫びが聞こえるものだと思っていた。
だが、後ろから聞こえたのは恐怖から出た悲鳴だった。
団員「あ、足が・・・・・!」
なんと、団員達の足は凍って、床から離れなくなっている。
その団員達の顔と、団長の驚いた顔を見て、エイリアがクスクスと笑った。
エイリア「かるーい魔法だよ?かるーいね。」
団長は恐怖のあまり腰を抜かし、言葉を出せなくなっている。
シャドウ「殺すなんて言葉は気安く使うもんじゃない。」
その気迫と恐怖に、団長は大きく何度も頷いた。
そして、サーカス場をシャドウ達とリアは出た。
~デビトタウン~
エイリア「よくやったね、リアさん。」
リア「いえ、貴方達が来てくれなかったら・・・・・。」
シャドウ「そんなことはない。」
シャドウはリアの方へ近づいた。
そして、手を握ったと思うと、リアの手にはペンダントが一つ。
リア「これは何ですか・・・・・?」
シャドウ「僕の魔法が少し込められているペンダント(※)だ。いざとなったら、僕の分身が手を貸してくれるだろう。」
リアは「ありがとうございます」と言いながら、何度もシャドウ達に頭を下げた。
そして、シャドウ達は別れの挨拶をすると、デビトタウンから出て行った。
続く
※ 第一章の三十四話、三十五話参照