第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 五十三話
~デビトタウン サーカス場~
従業員風のチャオが指差した方へ行くと、地下へと続く階段を見つけた。
ナイツ「何か下から聞こえるね。」
耳が良いナイツが一番早く気付いたが、下の方からかすかに唸るような声が聞こえてくる。
シャドウ達が階段を降りていくに連れ、大きくなっていった。
そして階段を降りきると、そこはとても広い空間だった。
白い床のタイルに、床と同じ色の壁と天井で包まれた、デビトタウンの風景とはまた違った独特の雰囲気を持った空間。
だが、その雰囲気を壊すかのように、やたら複雑な器具やその近くに置いてある鉄の鞭や棒。
そしてたくさんの動物達と、それに負けないくらい多いチャオ。
どうやらチャオ達は着ている服装などから、サーカスの団員のようだ。
その内の一人の団員がシャドウ達に気づき「団長!」と言った。
するとサーカスの団長はシャドウ達に気付き、シャドウ達の方へ近づいてきた。
団長「ここは関係者以外立入禁止のはずだ。悪いけど出て行ってくれないか。」
するとエイリアが一歩前に出て言った。
エイリア「抗議をしたいのですけど。」
そしてエイリアは団長の返事を待たずに、近くにいた猿を指差して言った。
エイリア「あんなに傷だらけ。やりすぎなんじゃないですか?」
よく見ると他の動物達も傷だらけだ。
団長の返事を待っている間も、エイリアの目は怒りを増していった。
それを見た団長は、小さくため息をつくと答えた。
団長「サーカスの練習ってのは生易しいものじゃないんだ。怪我をする者が出てきてしまうのはしょうがないこと。」
エイリアはもう一歩前に足が出かけたが、シャドウに掴まれて進んだのは気持ちだけだった。
シャドウ「また後程お伺いします。」
シャドウはそういうと、エイリアの腕を掴みながら他の仲間を連れてサーカス場を出た。
~デビトタウン~
サーカス場を出て、エイリアは一つため息をついた。
エイリア「ああ言われると攻めにくいなぁ。」
エイリアの怒りは冷め、冷静に物事を考えられるようになっていた。
シャドウ「証拠かそれを見た証言者さえいれば良いのだが・・・・・。」
そして仲間達がしばらく沈黙していると、一人のチャオが話し掛けてきた。
???「すいません、少しいいですか・・・・・?」
シャドウ達は話し掛けてきた人物を見て驚いた。
シャドウ「貴方は・・・・・。」
続く