第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 五十二話
~デビトタウン サーカス場~
シャドウ達は大きなテントにやると、そこは案の定サーカス場だった。
シャドウ達がテントに入る時、出てくる沢山の観客とすれ違ったので、今は公演終了後のようだ。
中はスタジアムのように、真ん中にステージがあり、それを観客席が囲む、といった形だ。
エイリアは、中を掃除している従業員風のチャオに話しかけた。
エイリア「あの~、すみません。」
エイリアの声に気付くと、その従業員風のチャオは掃除をやめてエイリアに返事をした。
従業員風のチャオ「はい。何ですか?」
エイリア「このサーカス場から傷だらけの猫が歩いてきたんですけど、何でですか?」
一瞬、従業員風のチャオは表情を変えた。
だが、冷静を装うかのように喋り始めた。
従業員風のチャオ「こ、ここのサーカスでは動物と共に大きな技をしたりするので、怪我をする動物も出てきてしまうのです。その動物が逃げ出したのでしょう。そしてそれをなくすために今、裏で技の練習をしています。」
誰が見ても従業員風のチャオは冷静ではない。
呼吸の感覚が乱れている。
そして、舞台裏を指さしている。
エイリアが傷だらけの猫を抱いた時から抱いていた不信感は、確信に変わった。
エイリアはそっけなく礼を言うと、舞台裏の方へと歩き始めた。
すると従業員風のチャオは慌ててエイリアをとめた。
従業員風のチャオ「ちょ、ちょっと待ってください!そちらは関係者以外立入禁止です!」
すると今度はシャドウが従業員風のチャオに言った。
シャドウ「私達は獣医だ。通してはもらえないか?」
シャドウは手の上に水の魔法をボヤボヤと出しながら言う。
従業員風のチャオはもう何も言い返せず、シャドウ達を通した。
シャドウ達が行ったのを見届けると、従業員風のチャオは呟いた。
従業員風のチャオ「もう、あの人達に賭けるしかないのか・・・・・。頑張ってくれ・・・・・・。」
続く