第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 五十一話
~デビトタウン~
シャドウ達は町へ辿り着いていた。
町はデビトタウンと言うらしい。
やはり戦争中にも関わらず、賑やかな町だ。
レンガで出来た建物、ずらりと並ぶ色の違う家、噴水などが町に味のある雰囲気を作っている。
ラルド「耳島に似てるね。」
シャドウ「そういえばそうだな。この噴水なんかは初めて会ったころを思い出すな。」
シャドウとラルドが初めて会うのは、仲間達がダーククリスタルによって吹き飛ばされ、シャドウが耳島に着いた時が始まりだった。
シャドウがとりあえず何かをしようと、町の中心に行くと噴水の前で泥棒と泥棒を問い詰めているチャオが一人。
そして、シャドウの目の前で華麗に泥棒を撃退したチャオ。
それがラルドだった。
シャドウ「僕が耳島に飛ばされて、ラルドに会えた。今となって考えれば奇跡だったのだな。」
ラルド「私達は運命の赤いヒモで結ばれてるんだよ!」
ラルドは小指を立てた。
マッスル「糸な。」
シャドウ「何だ、その運命の赤い人というのは。」
するとラルドは吹き出して腹を抱えて転げまわった。
マッスルも笑いをこらえながら言った。
マッスル「ヒモと糸を混ぜてどうする。何者だよ運命の赤い人って。」
ラルドもまだ前のめりになって腹を抱えながら、必死の思いで言った。
ラルド「しゃ、シャドウって意外とお茶目だね・・・・・!」
それでも真顔で着いて来れていないシャドウを見て、ラルドはまた倒れた。
すると、エイリアがシャドウの近くに行き、運命の赤い糸について説明した。
エイリア「分かった?」
シャドウ「そういうことか・・・・・。だが、まだ僕には恋というのはイマイチ分からないな。」
するとラルドはシャドウの肩をポンポンと叩きながら言った。
ラルド「どんまい。そのうち良い人見つかるよ。」
シャドウ「ん?ラルドが糸で結ばれてるんじゃないのか?」
ラルド「へっ!?」
ラルドは一瞬目を大きく開き、少し赤面したがすぐに喋り始めた。
ラルド「何言ってんの!冗談に決まってんじゃん!」
少し必死なラルドを見て、エイリアがクスクスと笑った。
エイリア「やっぱり女の子だねー。」
ラルド「うるさい・・・・・。」
ラルドはフードを深く被った。
すると突然、オリが喋り始めた。
オリ「これは・・・・・。」
その声に気付き、仲間達はオリの方を向いた。
するとオリの足元に、傷だらけの猫が歩いていた。
エイリアは猫に駆け寄り、抱き上げた。
エイリア「可哀想に・・・・・。」
そして水の魔法をかけて回復させると、猫はエイリアの顔を一度舐めて町の外へと歩き出した。
エイリア「あの猫、何処から歩いてきたの?」
エイリアはオリに聞くと、オリは猫が歩いて来た方向を指した。
其処には、大きなサーカスをやるような大きなテントが1つ。
エイリア「・・・・・あそこ、行こうよ。」
エイリアの目は怒りに燃えていた。
それを見たシャドウは言った。
シャドウ「手早く済まそう。」
続く