第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 四十九話
~レイシアの家 外~
オリ達がしばらく沈黙していると、ケロッと元の表情に戻ったラルドが戻ってきた。
そして、ラルドが芝居だったと暴露すると、またその場に賑やかになった。
オリは、まだ何処か不安なのかラルドに「悪かった」と謝った。
ラルド「そ、そんなに気にしてないよ。そんなに謝られても罪悪感だけが・・・・・。」
ラルドは本当に困って苦笑いしている。
どうやら演技ではないようだ。
バウス「ラルドも罪悪感を感じることがあるんじゃな。」
ラルド「お前みたいな老いぼれくらいなら一瞬で消せるよ?」
バウス「マジごめん。」
と、そんなふざけた会話が続き、場は明るくなった。
するとオリが突然きりだした。
オリ「そう言えば、スーマに会ったと言ったな。『スーマ』という言葉を俺も聞いたことがある。」
ナイツ「え?ホント?近づけないくらいのプレッシャー放出中なヤツだったよ。」
ライン「出来ればもう会いたくないヤツだけどなぁ・・・・・。」
ラルド「何言ってんの。味方か敵か分からないんだし、敵だったら戦わなくちゃいけないんだよ?」
ライン「そりゃそうだけど・・・・・。」
ラルド「とは言っても、アレは流石に私もキツいかもなぁ。明らか普通じゃないオーラだったし。」
しばらく考え込んでいたオリは口を開いた。
オリ「ゼアス城で誰かに教えてもらったのか、本で見たのか・・・・・。うーん・・・・・。」
その時、家からシャドウとレイシア、遅れて明らかにブルーなマッスルが出てきた。
シャドウが興味を持って質問責めし、それを聞いていたマッスルがテンションダウンしてしまったのだろう。
レイシア「いやいや、シャドウ君はいいね。これだけ興味を持ってもらえると知識を与える側は楽しいよ。」
シャドウ「こんなに知識を分けてもらって感謝している。」
すると、ラルドがレイシアを見て言った。
ラルド「レイシアさんなら知ってるんじゃない?」
レイシア「ん?何か用があるの?」
ナイツ「あの、スーマって知ってますか?」
レイシアの隣にいるシャドウもそれに興味を持ったようだ。
シャドウ「確かにスーマは謎だらけだ。レイシアが知ってることがあるなら聞きたい。」
レイシア「いや、知らない。」
レイシアの返答はとても早かった。
シャドウ達は何か否定的な感情も感じた。
それを察したシャドウは話題を切り替えた。
シャドウ「そうか。なら、此処からどうすれば良いか教えてくれないか?」
するとレイシアの否定的な感情を持った顔はコロッと変わり、快く返答してくれた。
レイシア「うーんとね、この山はヘルズ城を囲むように出来てるんだよね。西からならヘルズ城に行けるけど、此処からはカタツムリの渦を外から内側に行くように、ヘルズをグルッとまわらなきゃいけないね。とりあえず、此処から東に行って海に突き当たったら南に行くといいよ。」
レイシアは地面に大まかなヘルズの絵を描いて説明した。
シャドウ「そうか、ありがとう。」
シャドウが礼を言うと、仲間達も頭を軽く下げた。
レイシア「それを聞くってことは、もう行っちゃうのかな?」
シャドウ「あぁ。世話になった。」
レイシア「何だぁ。もう行っちゃうのかぁ。」
レイシアは残念そうな顔をすると「見送る」と言って最後までシャドウ達見送った。
仲間達の中には最後までレイシアの方に手を振っていたり「ありがとー!」と言っている者もいた。
そして、全員が見えなくなるのを確認したレイシアは家の中に入った。
レイシア「シャドウ君が読み取ってくれて助かったよ。」
「そうですね・・・・・。」
レイシアが喋ると、昨夜の霊がまた答えた。
レイシア「まさかスーマまで姿を現してたとはね。あんな話題を外で出したら、ホントにエンドリアの霊に呪い殺されちゃうところだったよ。早めに家から出てきて良かったよ。」
「スーマはエンドリアの兵士を多く殺してますからね。」
レイシア「スーマはカオストについてたからね。そうそう、カオストと言えば、シャドウ君とマッスル君も何故かカオストの兵士に嫌われてたね。」
「気になりますか?」
レイシア「うーん、マッスル君はカオスィヴとタイプも一緒だし、結構似てるところもあるから分かる気がするけど、シャドウ君が霊に嫌われる理由は分からないなぁ。」
「私はシャドウ・ザ・スピードもカオスィヴに似た気を少し感じました・・・・・。それが原因かも知れません。」
レイシア「ん?ホント?・・・・・確かに僕も少し感じたけど、彼にカオスィヴと接点はない筈なんだけどなぁ。」
「それでも、彼には戦争を良く終わらせてくれそうな期待をしてしまいます。」
レイシア「そうだね。僕も期待しちゃうなぁ。」
続く