第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 四十八話
~レイシアの家 外~
ラルド「私はラルド。この旅に全力を尽くさせてもらう。」
ラルドは昔の自分を真似し、いくつかセリフを考えては言う、を繰り返していた。
エイリア「そうそう、そんな感じ!」
エイリアなどの昔のラルドを知る者は笑ったり懐かしがったりしていたが、オリはポカンと口を開けて見ている。
ラルド「どうよ?もうネタ切れだから勘弁して。」
ラルドはオリの方を見て尋ねた。
オリ「・・・・・いや、なんか萎えるな。」
オリの一言に、今度はラルドがポカンと口を開けてオリを見た。
オリ「昔学校で同じクラスにいた、アニメとかに影響されすぎた痛い女を思い出した・・・・・。」
ナイツ「あー、いるよねー。視界に入るだけで凄いムカつくもんね。」
すると、涙目になっているラルドに気付いたナイツは、急いでフォローをした。
ナイツ「で、でも、ラルドはそんなことなかったよ!」
ナイツはそう言いながら、オリに目でフォローするように合図した。
だが、オリには伝わらず「ん?」と言うだけだった。
そして遂にラルドは涙を流し、下を向いてしまった。
そこでようやくオリは自分の過ちに気付いた。
が、どうして良いか分からずうろたえるばかりだ。
エイリアがラルドの肩をポンポンと叩きながら、少し離れた所まで連れて行った。
すると残されたオリも、嫌な心の鼓動に襲われ始めていた。
バウス「女泣かせてどうするんじゃ。兵士さん。」
ライン「い、いや、悪気はなかったんだと・・・・・。」
ラインはオリの銃の腕を尊敬しているので、オリを庇おうとする。
オリは庇われていると言うだけで、悪い事をしたという実感が強くなり、胸が苦しくなった。
ナイツ「合図した時は何かあると思ってね。」
ナイリア「まぁ、でもラルドだからまた普通に接してくれるよ。」
オリ「あ、あぁ・・・・・。」
オリを責めるのも、もう気の毒なので仲間達はやめた。
ライン「またスーマとかと会った時は、ラルドも今日みたいにふざけ半分じゃなくて本気でやるから、楽しみにしておくぐらいで丁度良いですよ。」
オリ「あぁ、ありがとう・・・・・。」
~少し離れた草むら~
エイリア「ラルド、大丈夫・・・・・?」
ラルド「・・・・・涙腺緩めるだけで兵士さんもあんなになっちゃうんだね。ククク。」
エイリア「ラルドって子悪魔だね。」
続く