第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 三十二話
~森~
マッスルはブツブツ言いながら森の中を歩いていた。
マッスル「うーん・・・・・・・。」
マッスル(俺、エイリアに何か恨み持たれるような事したか・・・・・?まさか頭島にいた頃に、学校で足かけたのをまだ根に持ってるのか・・・・・・?)
マッスルは下を向いて色々と考え込みながら歩いていた。
が、マッスルがハッと顔を上げると辺りは真っ暗。
しかも、森で迷ってしまった。
小さいとはいえ、森は森。
マッスル「ヤバいかも知れないこの状況をどうするマッスル・パワード。いっそのこと、この森を焼き尽くして・・・・・・。いや、環境破壊いくない。」
マッスルはずっと喋りつづけたが、一息ついた時には空しさだけが残った。
マッスル(まぁ、歩いてりゃどうにかなるか。)
ポジティヴなマッスルは、そのまま真っ直ぐ歩くことにした。
辺りは真っ暗で、近くの木しか見えないような状況だ。
すると、近くでガサッと物音がした。
マッスルは驚いたが、すぐに落ち着き、物音がした方を見た。
其処には小さい木の辺りをうろつく小動物のウサギがいた。
マッスル「こんなんにビビッちまったよ。・・・・・でも、中々可愛いな。」
マッスルは捕まえようとウサギの方へ手を近づけたが、ウサギはピョンピョンと跳ねて奥へ行ってしまった。
マッスル「あ、待てよ。」
マッスルも後を追うが、見失ってしまった。
が、マッスルが辺りを見渡すと、其処は今まで光景とは違った。
大きな石碑のような物が一つ、マッスルの目の前にあった。
石碑と言うより、土台のようなものがあるので、墓石のようにも見える。
不思議なことに、木が此処を避けるように生えていない。
石を中心に、周囲10メートルほどは綺麗な草しか生えておらず、慣れない光景にマッスルは不気味さを感じた。
形だけならば、以前オルドと戦った広場に似ている。
違うのは、その広さが狭いということと、このマッスルの五倍の大きさはありそうな大きな石と、この神秘的な雰囲気。
マッスル「何だ、この感覚は・・・・・。」
マッスルは、何か大きなものを感じているようで、ゾクゾクした。
???「貴方は・・・・・。」
マッスルが後ろを向くと、其処には見覚えのあるチャオが一人。
が、マッスルはそのチャオに恐怖も感じた。
マッスル「あ、アンタは・・・・・・スーマ!」
そう、其処にいたのは以前驚異的な殺気を放ったスーマ。
スーマ「覚えてたの・・・・・ね。」
マッスル「え?あ、あぁ、やたら凄いヤツは覚えてるよ。最近は、そのやたら凄いヤツと良く遭遇するんだけどな・・・・・。」
スーマ「クス・・・・・カオスィヴね。」
スーマは小さい笑みを浮かべた。
マッスル「え、何で・・・・・?」
マッスルはこの言葉に二つの気持ちを込めていった。
一つは相手に伝わる方であろう、何でカオスィヴを知っているか。
もう一つは、何でこんなに優しい雰囲気を出して俺と話しているのか。
以前とは比べ物にならない程、雰囲気が穏やかだ。
スーマ「カオスィヴとは、長い付き合いだからね・・・・・。」
マッスルがその言葉に対し、もう一つ聞こうとするとスーマが遮るように一言言った。
スーマ「貴方が聞きたいことは分かるけど、まだあまり首を突っ込まないで。そのうち分かることだから・・・・・。」
マッスル「ヤダ。」
と、マッスルの早く短い返答に少し驚いたが、また笑みを浮かべて答えた。
スーマ「クスッ。マッスル・パワード・・・・・ね。面白い人・・・・・。」
そして、マッスルが一度瞬きをすると、何故かもう其処は森では無かった。
マッスル「え・・・・・。」
前の方にはシャドウ達が見える。
マッスル(森の入り口辺りか・・・・・・?何で・・・・・?俺はさっきまで・・・・・。ん、さっきまで何処にいたんだ?あれ?・・・・・まぁいいや。)
マッスルはシャドウ達のところに行った。
~森の大きな石のある広場~
カオスィヴ「何をしていたんだ。」
スーマ「ちょっと話をね・・・・・。此処でマッスル・パワードと会ったのは偶然かな?」
カオスィヴ「・・・・・・。」
スーマ「あの子の記憶を少しいじったから、このことは忘れてる。安心して。」
カオスィヴ「そうか・・・・・。」
スーマ「まだ私達は表には出れないからね・・・・・。」
カオスィヴ「お前はこの使命、辛くないのか?」
スーマ「クス、貴方に辛くないことは私にも辛くないよ。」
カオスィヴ「そうか・・・・・。」
続く