第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 三十一話
~ヘルズ~
エイリア「わ、私がやるの?」
ラルドがエイリアに説明し終わると、エイリアはオロオロとし始めた。
他の仲間達も説明を聞いていたので、動きを止めた。
すると近くにシャドウも寄ってきて、エイリアに言った。
シャドウ「一直線に魔法を放つだけで良いんだ。」
エイリア「うーん、一応やってみるよ。」
そして、エイリアは右斜め45°付近に水を放った。
マッスル「あべしっ!」
なんと、水はマッスルの顔面に勢い良くかかった。
エイリア「あ・・・・・。」
空間は複雑に歪んでいるようだ。
マッスル「・・・・・うん。事故だよな。そう、事故だ。」
エイリア(ポジティヴだ・・・・・・。)
シャドウ「で、では気を取り直して他の方向に頼む。」
エイリアはそう言われ、今度は左斜め45°付近に水を放った。
マッスル「ひでぶっ!」
今度は、マッスルの下の方から顎に向かって水が勢い良くかかった。
マッスル「・・・・・俺に恨みでもあるのか、小娘。」
エイリア「知るか黙れ失せろ。」
と、マッスルの心は散弾銃に撃たれたかのように生気を失った。
マッスル(・・・・・俺、悪い事したかな・・・・・・?)
エイリア「じゃあ、今度は・・・・・。」
エイリアは左に向かって水を放った。
マッスル「・・・・・・・。」
水を弾く音がした方には、右の頬を濡らしたマッスルがいた。
エイリア「じゃあ、次は右に向かって・・・・・・。」
シャドウ「あぁ。」
マッスル(・・・・・俺って何で生きてるんだろう。)
すると今度は何処からも水は戻ってこなかった。
つまり、空間が歪んでいない方向は右だ。
シャドウ「では、行こうか。」
オリ「空間が歪むなんて、不思議なこともあるものだな。」
シャドウ達はそちらへ向かって歩き始めた。
マッスルもしばらくの沈黙の後、ついていった。
そして、しばらく歩くとオリが言った。
オリ「森・・・・・だ。」
オリが見つけたのは、森にしては小さい森。
シャドウ「この森に敵がいるのかもしれないな。・・・・・・それにしても、町が中々見つからないな。」
オリ「いや、この森を抜けたらいい加減見つかるだろう。町の割合も自然の割合も大して変わらないらしいしな。これだけ進めばあるだろう。」
しかし、もうこの頃には夕暮れだった。
オリ「今森に入ったら途中で暗くなるか・・・・・・。今日は此処で野宿にしよう。」
シャドウ「分かった。」
そして、森の近くにあった木の枝を集め、エイリアの火の魔法で焚き火を作った。
その頃にはもう辺りは暗くなっていた。
焚き火を囲んで雑談をしていると、シャドウがあることに気付いた。
シャドウ「む、マッスルがいないな。」
エイリア「ちょっとふざけすぎちゃったかなぁ。」
ラルド「あの時のエイリア、リアルに怖かったよ。」
エイリア「え、ホント?」
シャドウ「マッスルのことだ。アレくらいでは折れないはずだ。」
エイリア「だよね~。」
バウス「やっぱり怖いのぉ。」
オリ(なんだこの会話は・・・・・。)
続く