第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 二十六話
~ゼアスとヘルズの国境~
ゼアス兵隊長「フィム、アイツは・・・・・・。」
その言葉と、ゼアス兵隊長の確信を持った顔を見たオロは尋ねた。
オロ「なにか分かったのですか?」
ゼアス兵隊長は答えた。
ゼアス兵隊長「俺の予想だが・・・・・。フィムはヘルズ三人衆ではない。」
その言葉に、その場にいた全員が驚いた。
クナ「な、何でですか?」
ゼアス兵隊長「まぁ、ハッキリ言うと、だ。フィムは三人衆を名乗れるほど強いとは思えない。様子見だったのと、シャドウ殿のための時間稼ぎで俺は80%程度で戦ってたんだが、ほぼ互角だったしな。」
マッスル「アレだけの勝負をしておいて、それでも強くないって・・・・・・。しかも、アレで80%・・・・・・。」
あの戦いを見て感動を覚えたマッスルが、その言葉にさらに驚く。
スチ「そ、それは何故ですか。我々には、充分実力があるように思えましたが・・・・・・。」
ゼアス兵隊長「以前、三人衆の一人はミサイルを跳ね返してきたらしいだろ。【衆】って並べられるくらいなんだから、三人衆内での実力差はそれ程ないと思う。それで、俺の80%程度のヤツがミサイルを跳ね返せるか、って言ったら無理だろ?」
スチ「なるほど・・・・・・。」
周りも納得したようだが、気になることがあるのか、シャドウが尋ねる。
シャドウ「隊長、一つ聞いても良いですか。」
ゼアス兵隊長「どうぞ、何でも。」
シャドウ「では、フィムは何者なのですか?」
その質問に、ゼアス兵隊長は困った顔をしながら答えた。
ゼアス兵隊長「うーん、難しい質問ですね・・・・・・。私もヘルズの者ではないからハッキリとはいえませんが、私がヘルズの上の者だったらスパイか小隊長辺りに配置させますね。」
シャドウ「なるほど、ありがとうございます。」
シャドウ(スパイ・・・・・。やはりその程度の者か。)
すると、セイの方からオリとラインが乗った空飛ぶバイクが近づいてきた。
ゼアス兵隊長「お!オリじゃないか。」
そして、空飛ぶバイクは降りてきて、オリはゼアス兵隊長の前に立った。
オリ「セイを守れました。隊長、ありがとうございます。」
ゼアス兵隊長「何言ってんだよ。セイを守ったのはお前だろ?」
オリ「いえ、この成果は隊長の心と・・・・・・。ラインの協力があっての事です。」
ゼアス兵隊長「・・・・・そうか。では、その俺の心を打ち明けよう。」
オリはゼアス兵隊長の目を見た。
ゼアス兵隊長「オリ・・・・・。お前には、シャドウ殿やマッスル殿についていって、ヘルズへ行ってきて欲しい。」
オリは口を目を開けて動きを止めた。
シャドウ「隊長・・・・・?」
続く