第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 二十三話
緑の水たまりを見て、シャドウは驚いた。
だが、そんな事を知らない他の仲間達。
マッスルも緑の水たまりに気付き、近づき始めた。
マッスル「何だコレ?」
シャドウ「近づくな!」
突然の大きな声にマッスルは驚き、動きを止めた。
マッスル「いや、マジすいません。」
マッスルはゆっくり緑の水たまりから離れた。
シャドウ「フィム・・・・・!」
シャドウがそう言うと、緑の水たまりは形を変え、緑のチャオの姿になった。
フィム「すみませんね、待ちきれなくて出兵しちゃいましたよ。待つのはキライなもので・・・・・。」
その瞬間、一つの銃弾がフィムの頭に直撃した。
フィムはその銃が撃たれた方をゆっくりと向いた。
その先にはスチがいた。
スチ「銃弾は効かないみたいだな・・・・・。ヘルズの上のお方かな?」
フィム「フフ、ヘルズ三人衆のフィムと申します。残念ながら、私は液体と金属を足して出来たようなものですからね。」
フィムの頭にめり込んでいた銃弾はゆっくりと落ち、銃弾が打ち込まれた頭は元の形に戻った。
ゼアス兵隊長「それで、その三人衆が何か用で?」
ゼアス兵隊長は鋭い目付きでフィムを見た。
フィム「そんなに怖い顔をしないで下さいよ。ただ、セイの方にも出兵しましたよ、っていう報告をしに来ただけですから。」
シャドウ「わざわざ報告に来るとはどう言うことだ。」
フィム「それは簡単なことです。ここで貴方達が分かれてくれれば、私も貴方達を倒すのに楽と言うもんです。」
それに対し、ゼアス兵隊長はすぐに無線で城に報告をしようとしたが、何故か無線は動かなかった。
フィム「残念でしたね。昨日城に忍ばせておいた私の体の一部が、そろそろ城の回線を侵食し始める頃ですから。」
ゼアス兵隊長は舌打ちをした。
ゼアス兵隊長「やたらと準備が良いヤツだ。だが、コチラもそんな馬鹿じゃない。セイの方には、オリを向かわせている。ライン殿も此処に来る途中でオリを見つけてついていってしまったようだけどな。」
その言葉に、フィムも舌打ちをした。
フィム「オリ・・・・・。あの銃の小僧ですか・・・・・!セイは諦めて、コチラはコチラで始末してあげますよ。覚悟してください。」
~セイ上空~
オリの空飛ぶバイクには、ラインも共に乗っていた。
オリ「・・・・・何故着いて来た?」
ライン「実戦で見せるって約束したじゃないですか。」
オリ「・・・・・勝手にしろ。だが、目的はセイを守ることだ。絶対にセイに犠牲者を出してはいけない。そして、足を引っ張るな。それだけだ。」
ライン「はい。」
普段感情を表に出さないオリだが、この時のオリの顔は険しく、厳しかった。
それを見たラインも、また集中力を高めていった。
続く