第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 二十二話
~ゼアスとヘルズの国境~
ラルドは国境に着いた。
その頃には、ゼアス兵の殆どはもう国境に着いていて、戦闘を始めていた。
驚いたのは、その相手のメカチャオの数。
ゼアス兵が500人程度なのに対し、メカチャオは2000体くらいいる。
個人の実力は確実にゼアス兵が勝っている。
だが、流石にこの相手の数では苦戦を強いられるだろう。
そんな中、ゼアス兵隊長が大声でゼアスの兵士達に言った。
ゼアス兵隊長「おい、今日はやたらと多いぞ!気ぃ引き締めろ!」
大声とはいえ、大掛かりな戦闘の中での一人の声。
聞こえたのは近くで戦っている兵士のみだった。
が、ゼアス兵の心は繋がっているのか、見事なくらいに優勢だ。
実力が大きく離れているのか、メカチャオの攻撃は殆どゼアス兵には当たっていないようにも見える。
そんな中、ラルドも次々とメカチャオを破壊していく。
風のように吹き抜け、狼のように爪を立て鋭い牙を剥く。
【風の狼】と言う異名は、この速さと鋭い打撃技から付いたのだろう。
そして、其処にシャドウ達が追いついた。
シャドウ「数だけだ。行くぞ!」
シャドウ達が加勢してからは、本当にメカチャオの減りが早かった。
すぐにメカチャオ達を全滅させた。
それに、なんとゼアス兵に負傷者はいるものの死者はいないようだ。
スチ「隊長、完全勝利ですね。」
ゼアス兵隊長「これも一人一人が全力でやってくれたからだ。結果としてはベストだな。では、撤退だ。」
そして、射撃隊と隊長を除くゼアス兵は城へと向かった。
オロ「隊長、もう残るものはいないようです。我々も戻りましょう。」
ゼアス兵隊長「いや、私はシャドウ殿やマッスル殿の見送りをする。先に戻っていてくれ。」
クナ「いえ、私達も見送りをします。」
シャドウ「心遣い感謝致します。」
マッスル「皆さん、ありがとうございます。あと、ナヤトにも宜しくお願いします。」
ゼアス兵隊長「はい。お任せ下さい。」
シャドウ「では、本当にありがとうございました。」
が、シャドウが振り向いてヘルズの方を向くと、其処には緑の小さな水たまりがあった。
シャドウ「!」
続く