第二章 ~ヘルゼアス戦争~ 十三話
スチが放った銃弾は、丸い的に向かって一直線。
50m近くある距離を感じさせず、見事にど真ん中を突き破った。
ライン「見事です。」
スチ「いえいえ、そんな事ないですよ。」
すると、シャドウが的の近くまで歩いていった。
シャドウ「いや、本当に的確に真中を打ち抜いている・・・・・。本当に見事です。」
シャドウが戻ってきてスチの顔を見ると、少し照れ笑いしているようだった。
オロ「スチの持ち味ですからね。大抵の敵なら、一発で仕留められる命中力。私達でも、彼の命中率には敵いませんよ。」
スチ「そんな、オロも凄い物を持っているじゃないですか。見せてあげましょうよ。」
オロは苦笑いしながら隣の的の正面に立った。
距離は同じく50m程度。
期待したシャドウ達が見ている中、オロは的を見て集中する。
そして、オロは銃弾を放った。
銃弾は、的の真中に当たりはしなかったが、その凄まじい威力で的自体をバラバラに吹き飛ばした。
オロ「うーん、やっぱり真中に当たりませんね・・・・・・。」
スチ「これだけ威力があれば、命中率くらいカバーできますよ。」
マッスル「え、銃って使い手で威力に差が出るの?」
スチ「いえいえ、彼の銃は特別に重い弾と、それを支える重い銃を使っているんですよ。彼自身に太い「芯」がありますから、ちゃんと使いこなせるのです。私達があの銃を使えば、的にすら当たりませんよ。」
マッスル「銃って意外と色々あるんだな・・・・・。」
スチ「さて、次はクナ。ゼアス兵の中で、唯一の女性です。普通の銃ですけど、面白いので見ていてください。」
クナ「では、的を三つ程使わせて頂きます。」
クナは、一つの的の正面に立った。
が、その的の両隣の的も撃つらしい。
クナは、ゆっくりと顔の前に構え、向きを変えつつ3発連射した。
すると左サイドにあった的は燃え、真中にあった的は凍り、右サイドにあった的は電気を纏いながら崩れていく。
シャドウ「魔法・・・・・?」
スチ「その通り、クナは弾の代わりに魔法を込めるのです。なので、弾を込める時間がいらない上、動きながら撃っても当てられる命中力があります。」
シャドウ「つまり、どんな相手に対しても有効な攻撃が出来ると言うことですね。」
スチ「はい、その通りです。」
オロ「では・・・・・・四人の中で一番強い、オリ。」
オリ「・・・・・・。」
壁にこしかけていたオリは、立ち上がった。
続く