第一章 ~マール星~ 六十九話 「ナイリア 対 Z」

ナイリア編

ナイリアは、山を正面にエイリアよりやや右側辺りを捜索している。

緑があるが、山の中では少ない方だ。

ナイリアは、黙って目をギラギラさせて捜索をしている。

ところが、全然メカチャオらしき物は見当たらず、疲れてしまったのか木に寄りかかった。

ナイリア「あーあ、やっぱ簡単には見つからないなぁ。」

ナイリアは、一つため息をついた。

ナイリア「!!」

ナイリアは、寄りかかっている木の後ろの方から、凄まじい殺気を感じ、咄嗟(とっさ)に木から弾けるように離れた。

その瞬間、木は斜めに切り倒され、その殺気の正体となる物が姿を現した。

その光景に、ナイリアは目を疑った。

ナイリア「そ、そんな・・・・・。貴方は・・・・・!」

その殺気を持った者が、切り株となった木を飛び越えてナイリアに近づく。

???「俺が此処にいる事が不思議か、ナイリア。」

見慣れた機械の赤いアーマー、緑と水色の間の色で、レーザーのような性質の剣、そう、其処に立っていたのはゼオだった。

ゼオ「何だ、そんな驚いた顔をするなよ。」

ナイリア「だって・・・・・ゼオ・・・・・。いや、お前はゼオなんかじゃないよ・・・・・。」

そのゼオの額には赤い逆三角形のマークがあり、赤いオーラが体から溢れている。

それを見てナイリアは言った。

ゼオ「このマークを見て言っているのか?だがな、これはリバルに俺ら強いメカのみに付けられたマークなんだよ。」

ナイリア「そのオーラは・・・・・?」

覚醒ゼオ「これは、俺が覚醒した時に出るものだ。普段の俺とは、訳が違う。リバルのお陰で覚醒出来たのだがな。」

ナイリア「違う・・・・・。リバルってのが誰だかは分からないけど、ゼオはあのゼオだよ。早く目を覚まして!」

覚醒ゼオ「クク、何を言っている。寧ろ、この覚醒状態の方が目を覚ましていると言えるのだぞ?」

ゼオは不気味な薄ら笑いを浮かべた後、凄まじいスピードでナイリアに切りかかってきた。

ナイリアは辛うじて避けたが、振った時の剣の衝撃波で周りの木が吹き飛んだ。

その衝撃は凄まじいものだったが、ナイリアはふんばって耐え、ゼオの目を見た。

ナイリア「ゼオに成りすまして、私を襲おうなんて甘い。甘いんだよ。お前はゼオでも、ゼオじゃない。」

ナイリアの目付きが変わった。

どうやら、集中力が高まり、本気になったようだ。

覚醒ゼオ「ククク、ガキが調子に乗るな。」

だが、ゼオがそう言い切った頃には、ナイリアの拳がゼオの腹部にめり込んでいた。

ゼオの腹部にはアーマーが無いため、ダメージが大きい。

覚醒ゼオ「グオッ!」

ゼオは腹を片手でおさえて、ナイリアから離れた。

覚醒ゼオ「クッ、何だこの威力は・・・・・!たかがナイリアごときに・・・・・。」

ナイリア「私は、皆の仲間に入るのが少し遅かったし、メンバーの中では凄い弱かったけどね・・・・・仲間を想う強さだけで、これだけ強くなれるんだよ。私はゼオのことも仲間だと思ってるし、信じてる。だから私は此処でお前と本気で戦う。」

覚醒ゼオ「このクソ生意気娘が・・・・・!」

そう言うと、剣でナイリアの腹に斬りかかった。

ナイリアは咄嗟に少し離れたが、少し遅かったようで、浅く斬りつけられてしまった。

それに、ゼオの剣特有の切った後に残る残像が飛んでくるような衝撃波で、近くの木まで飛ばされた。

ナイリア「うう・・・・・・・。」

覚醒ゼオ「小娘に一杯やられるとはな・・・・・。フン。」

ゼオは一瞬で何処かへと消えてしまった。

ナイリア「グゥ・・・・・。」

ナイリアは痛みをこらえて立ち上がった。

ナイリア「傷は・・・・・浅い、か。」

ナイリアは、水の魔法で少し傷口を塞ぎ、回復した。

ナイリア「早く報告しなくちゃ・・・・・。」

ナイリアは、小走りで集合場所へと急いだ。


続く

このページについて
掲載号
週刊チャオ第224号
ページ番号
75 / 231
この作品について
タイトル
シャドウの冒険3
作者
ダーク
初回掲載
週刊チャオ第158号
最終掲載
2012年9月6日
連載期間
約7年5ヵ月14日