-SENSE- 3 自紹
一人階段で待っていたのは眼鏡をかけスーツ姿のチャオ。
凛々しい立ち方がとてもきれいで、いかにも優秀なチャオの風格だ。
『まあ、これでも飲んでくれ』
ホイッ
チャオが持てる大きさサイズのコーヒーを階段から降りていたチャオの元に投げて渡した。
2人は階段に座る。
そろそろ自己紹介を混ぜておこうか。
階段から降りてきたチャオ、1話から登場していたチャオ。
つまりこの物語の中心物のチャオ
名前は【イデア】
親はイデアを産んだと同時に力尽き、すぐ孤児院で育てられた
さきほどのび社長が言っていたが、彼はとても優秀なチャオである。
運動神経抜群、学習能力も他のチャオの群を抜いている。
この会社の採用試験では運動能力テスト・筆記テストで5位以内であり
年間行われる能力テストでは常に3位以内をキープしている。
容姿はニュートラルのノーマルチャオだ。
色も普通のピュア色である。
また弟の【イヴ】も存在する。(この会社関連の中小企業の方で働いている)
そしてコーヒーを渡したチャオ。
彼の名前は【ミチザネ】
学力はとても優秀であり、採用試験の筆記テストでは1位を叩きだした。
主にお金を管理する財務の仕事を普通の人、チャオ以上にこなすエリートチャオ。
仕事は多忙であるが効率よくこなすために失敗はほとんどない。
容姿はヒーローのスピードチャオ
色は真っ白である。
ちなみにコーヒーが好きである。
『ありがとうミチザネ。今日は外が暑くて喉がすごく渇いていました』
『いやいや礼をされる事じゃないよ。それよりイデア、お前また仕事失敗したのか?』
イデアの体にあるアザのようなものを見てミチザネはつぶやいた。
ミチザネは社長のお気に入りでほとんど手を出されるようなことはない。
だがそれはミチザネが仕事を失敗しないからである。
いつもミチザネは社長に新しい仕事をこなすごとに言われる言葉がある。
『お前は仕事を失敗しないからいい。だが失敗すれば殺すだけだ。つかえねぇ奴は僕の会社には必要ない』
これは社長の期待値がミチザネに大きいからこその言葉かもしれないが
事実、今まで仕事を失敗したものは次の日には姿を消しているのも少なくはない。
いつでも必死に生きることを優先して頑張る、これがチャオの現状なのだ。
ミチザネも一般のチャオも社長のチャオへの執念は変わることはない。
『はは・・ちょっと交渉が上手くいかなくて・・社長に叱られたんですよ』
『社長はどうしろと?』
『もう1回交渉しにいけと・・。今度ばかりは交渉失敗したら次の日には僕の首はないな』
『いやいやそんなことはないさ。何よりお前がいなくなってはこの会社は成り立たないのが現状、いつでも力になるから言ってくれよ』
『ありがとうミチザネ』
暗い非常階段の中で小さな明かりに当たりながら2人は座っている。
イデアはコーヒーをゴクゴクとすぐに飲み込み、立ちあがった。
この会社では勤務中のチャオ同士の私語は厳禁。
見つけたものは体罰をしてよいという会社の中だけに存在する要約がある。
ここは非常階段のため人の気配はない。
しかしバレた時のことを考え、イデアはすぐに歩いてこの会社を出る(交渉しにいく)行動に移した。
無言で階段を1階へ歩いていく2人。
カツカツと足の音だけがこの暗い非常階段で音を出す。
1階へついたとき、ミチザネはイデアにあるメモを渡した。
『ミチザネ・・一体これはなんですか?』
『交渉が終わった帰り道でいい。そのメモ帳にある【チャオガーデン】について調べてきてほしいんだ』
『【チャオガーデン】?なんですかそれは?』
『俺もよくはしらないがチャオの故郷らしい。言わば楽園とも呼ばれるところ・・あまり調べてないからよくわからないんだがな。ただ・・もっと詳しく調べてきてほしい』
『わかりました。帰りに図書館へ行き調べてきます。』
イデアは一人非常階段の扉をあけて会社を後にした。
すぐにミチザネはまた階段を上り自分の仕事場へ戻り、
また財務の仕事をこなしていく。
この会社ではチャオ同士仲良くするのはタブーとされている。
なぜなら仲良くなったところで3カ月以内にいなくなるケースが後を絶たないからだ。
イデアとミチザネは入社6カ月と他のチャオよりは長く勤務している。
他にもちらほらと勤務期間が長いチャオはいるが、だいたいはすぐに消える。
消える=死
言わなくてもわかるだろうが、大事なことなので説明しておく。
『さあ・・・・・今度こそ交渉を確実にしよう』
イデアはまた暑い熱帯のアスファルトをひたすら歩いていく・・。
続く。