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簡単だが、難しい疑問。数量に制限のある武器を使える。
もう一度この世界を展開さえすりゃあ、どうにかなると思ったのだがそうでもないらしい。
距離が近づきすぎている。そんなのは俺だってわかる。もう一回までに捕らえられる可能性がある。
ライトカオスは、元から答えを知っていたかのように振舞う。
「感情が無いのは向こうも、オレもそうだ。生きたいんなら手を出さなければ良かった。
人間は判断が出来ない動物だ。甘えることしかできないってのか?」
その言葉を聞き、男はすぐにライトカオスに銃を向ける。
「人間を馬鹿にするんじゃない。馬鹿にするんなら俺で止めろ。一括りにするな」
だが、その言葉に反応し、ライトカオスが激昂する。
「とぼけるんじゃない!あくまでもお前の問題としても言っているんだ!
オレは助かる。一応チャオだからな。それに死なないんだ。お前とは違ってな!」
ここでケンカが始まってしまうと、この世界の終点をどこにするかが問題となってくる。
原因は男にあるのは間違いない。だが、下手に口を出すと男が持っている銃が俺を狙う。
元々が1/2の確率の生だとしても、二回目は確率的には死を選ぶのだ。
二回目だけは絶対に避けるべき。傍観が一番であった。
「お前の臓器を打ち抜けば殺せるかもしれない。俺に従うんだ。活路を俺に言えっ!!」
ライトカオスは寿命が無いチャオ。つまり、事故などで死んでしまう可能性は、この一文からは容易に想像ができる。
不死という意味には寿命以外にも意味があるかもしれない。だが、分からない。
精一杯の脅しだが、的を得ている。この一文以外に、ライトカオスの不死に関する情報は見たことが無いのだ。
「オレは殺せない。そのお陰でこうやって生き残っている。
研究室の馬鹿どもがオレの感情を奪った!命さえも!オレは永遠にこの姿だ!
人間の起こした問題は人間で片付ければいい。お前はオレに惹かれたんだ」
悲しすぎる。その研究室の研究員が、このチャオをライトカオスにしたのだろう。
それで、あの銃と弾の試し撃ちをこのライトカオスに。どんな話術を使ったのかは分からないが、それで虐げられている、という自覚を起こす部分を完全に潰してしまった。
生があるからこそ死がある。死が一生訪れなくなったこのチャオは、一体どんな生き方をしてきたのだろうか。
その言葉で、男は黙ってしまった。理解していても、悲しすぎる。
過去のことは過去のこと。でも、今のことは今のこと。
理解ができないこともある。研究員たちは、誰かを殺すために銃と弾を開発した。
逆恨みで消されてしまった。このチャオに。
「生物も植物も皆平等。そうだろう?一方的に虐げられる権利は誰も持っちゃいない」
トドメである、ライトカオスが発した一言が、全てを表していた。
「黙って捕まるしかない。が、オレが銃を持って再度この世界に引き込めればなんとかなる。
あいつらはオレをチャオとしか思っていない。ただの、拉致されたチャオとしかな。お前ら二人が犯人なんだ」
銃と弾の魅力に、通り魔と化した男と、何もしていない巻き込まれた俺が犯人であるという。
現状だけ見ればそうなる。どうしようもない。
「磁力に乗せれば良い。だが、確信が無い。まずは一発、手前の男に撃て」
チャオの指示により、一発目の銃弾は空中に浮き、止まりながらも進んだ。目の前の警官の盾を擦り抜け、胸の辺りに消える。
「あの位置は臓器だ。今の三発は当たり。死を司っている。今度は0距離で確実に胸に撃ちこめ。足では駄目だ。拳銃を持っている」
言われるがままに、二発目を撃つ。胸の辺りに消えていく。
覚悟するんだ。もう三発目だ。警官勢と俺ら三人の競り合いが始まる。
チャオがチャージを行うと言うが、バレたら大変な騒ぎになる。
それなりに知能があることは認められているチャオであるからこそ、実行できるものでもあり疑われる対象でもある。
「いいな」
男がそう言うと、一発目を撃ちこんだ男の後ろの男の頭に撃ちこんだ。
着弾してしまった。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第220号
ページ番号
8 / 10
この作品について
タイトル
「生命への冒涜を求めて」
作者
Sachet.A
初回掲載
週刊チャオ第220号