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「これでひと時は持つ。だが、休むことはできない。チャオさんよ、どうすりゃいい?」
チャオに男が質問をする。こんな状況を切り抜けられる方法があるのだろうか。
「銃と弾にて入れるこの世界を、"感情の無い世界"と称したのはオレであった。
なぜそんな名称になったかわかるか?」
ライトカオスがはじめての言葉を喋る。チャオっぽくもあるが、人間っぽくもある。
これがチャオを超越した、不死のチャオ。ライトカオスなのか。
それはそうと、"感情の無い世界"とは一体?銃と弾の二発目を言うのだろうか。
この、不思議と周りが止まって見える感覚。
「時間が止まるから、か?正直分からないんだ」
情け無さそうに答えながら、その場に座った状態にまで起き上がる。
「この世界を抜け出すには三発の弾を全て撃ちきる必要がある。感情無く撃たねば、避けられない道なのだ」
そこで俺が口を挟む。
「ちょっと待て、この現象は何なんだ?俺はさっぱり分からないんだ」
そう言った俺に、ライトカオスが答える
「不思議なもんだよな。昔、とある研究室で開発された特殊な銃と弾だ。
発動をすると、こんな状態になる世界へと引き込まれる」
その後、続けてこの世界でのルールを知る。
三発の銃弾を撃ちきらないと出られない。撃ちきって、生命に着弾するまで出口は出来上がらない。
攻撃方法は三発の銃弾のみ。物体は全て貫通する。放った銃弾は放射線状に広がる、数秒おきの狭間を移動する。
数秒おきにその空間が動き出すから、物体の行く先を見ることが出来る。
行く先を見れるのはその数秒のみで、それが終わると発動直前にまで状態が戻される。また、この世界で動けるのは一度着弾した人のみ。
三発の銃弾が着弾すると、一体化して外れなくなる。失敗は効かないとのこと。
着弾が終わると、元いた場所・状態まで飛ばされ、着弾した銃弾は一気に体を貫く。
そして、恐ろしいのがこれだ。
「その三発は死と生を司る。臓器を完全に避けて貫く場合もあれば、急所だけを狙って磁力で引かれるように着弾する場合もある」
ロシアンルーレットのようなものだ。
心臓・喉・頭などの急所・臓器を貫く場合もあるという。だが、俺は臓器を完全に避けた弾を食らった。
つまりは、運が良かっただけ。そして、生き残れたのでこの世界で動くことができるのだという。
とてもではないが、まったく理解できない。研究にて作り出された一つの世界で、俺が動ける。
幻覚などではない。俺が良い例だ。
説明が終わったのを察して、男が一つ言う。
「簡単に人を殺せるまで、俺は堕ちてしまった。三発しかない。誰を殺せば生き残れるのか?」
その疑問。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第220号
ページ番号
7 / 10
この作品について
タイトル
「生命への冒涜を求めて」
作者
Sachet.A
初回掲載
週刊チャオ第220号