13話 ~苦戦(前編)~

『ジュエチャ・・・シルヴァに連れられた。』
アズマのこの合図で皆凍りついた。
もっとも、動かない(正確には動けない)状態なのでよく分からないが、全員の表情が固まるのが見えた。

-さて、どうするか・・・。-
アズマが考え込む。
この動けない状況ではいくら剣翔でも不可能だ。
頼んでも弾き返されるのがオチであろう。
-いっそのこと突っ込むか?-
駄目だ。それでは自殺行為をする馬鹿だ。
第一唯一の回復役の自分が飛び込んだら意味が無いじゃないか。
それに・・、一度やられた者は早くしないと完全に天へ上ってしまう。
エメラスを見殺しにする訳にはいかなかった。

側でフェニクも考えている。
-疲れたけど・・、動いたら即バタリだろうなぁ・・。-
こうなったらアズマとエメラス以外で突っ込むか。
-そ・・・それだ。って言っても自分も含めて2匹か・・・-
だがそれしか方法は無い。
早速アズマの真似で剣翔に合図を送る
『突っ込むぞ。』

剣翔にはフェニクが何と言っているか分かった。
-確かにこのまま持久戦では不利だ。だが見えない敵に攻撃するのには無謀すぎる。-
確かに、そうするしか手は無いが正直飲み込みずらかった。

しかしそこへ・・。
「エネルギークラッシュ!」
大声とともにもの凄い波動が走る。
その先には何も見えなかったが確かに声が聞こえた。
両方の姿が見えた。
片方はディロフォ。
もう片方は・・・・。

-だっ、誰だぁ!?-
フェニクが困惑する。

-あれは・・・。-
剣翔には聞き覚えがあるらしい。

「いいから攻撃しろよ。立っちまうぞ?」
その声を全員我にかえる。
「オメガフェニックス!!」
「ド・メルシ!!」
「赤翔閃!」
一斉に攻撃を掛ける。

「たしか・・・、レッドメア。」
アズマはあの一瞬でエメラスを蘇らせた。
「よく知ってるな。この無敵と言われた俺様を・・。」
「ボケで有名だもんナ。」
「貴様っっ!!」

「く・・・。」
全員攻撃を仕掛けたが、ディロフォは少したじろいだだけだった。

続く

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掲載号
週刊チャオ第93号
ページ番号
13 / 38
この作品について
タイトル
「世界観」
作者
リノ(チャル,チャチャ,冬楼閑)
初回掲載
2003年9月29日
最終掲載
週刊チャオ第123号
連載期間
約9ヵ月13日