弐~荒れ果てた地

偵察。 それは悲しいものであった。
ほとんどライアーズ探偵事務所が偵察に行くのは荒れ果てた地。
もしくは、赤い、悲しい、無惨な姿のチャオ達がいる場所。戦場。
それでもないなら。闇しかなかった。
時々町へ向かう。 決してすばらしい町なんて滅多に行かない。
荒れた、汚れている町。 素晴らしい町へ行ったとしても、その中の建物。 そこには誰かが倒れていたり、涙をためていた。

その悲しみを解る人は、そこで泣く。
だからライアーズに入社出来る人が少ない。
オヤジチャオは、一々部下の泣く姿を見てられなかった。
ずっと生き残っていられた、悲しみが解らないチャオがサイドの2人。 悲しい物である。


 「きっと、お前は入社出来ない。」
 『何故ですか・・???』
 「悲しみが解・・・」
 「それ以上言うと、ボスからクビ指令だぞ・・」
不思議な光景。 赤など決して見えない。
ただ。もの凄く悲しい。 白っぽい茶色。 花は枯れ、水は黒い。
悲しい色。 青なんて見えない。
白と、茶色だけ。 それだけの色の町。
 

 "デイルタウン"
砂を払いのけて看板を読んだ。 サササー・・と流れる砂。
世界の破滅をみた様だった。

 「お待ちしていました。」
 「あぁ・・こんにちは。 チャルズさん。」
素敵な人・・いや、素敵なチャオ。ジュエルチャオ。ルビーだ。
 「いつ見ても美しいです。」
オヤジチャオは、デレデレしていた。

 「おい、ブルー。 ボス、チャルズさんに惚れてると思わんか?」
 「思う・・・ レッド、お前と同感。」
ハートが飛び交うムードの横で、怪しい、たくらみのムードがあった。
 
 「そちらのチャオは・・・?? 新入社員??」
 「いえいえww 試してるんですよ」
 「まだ、規則を守ってるのね・・・」
 『規則??』
 「いや、お前には早い。 ほら、チャルズさんに自己紹介しろ」
 『えっと、シェリー・ネオンです。』
ぺこっ と頭を下げた。
 「えっと、ワタシは・・」
 「チャルズ・ルビー 様 だ。」
様 を強調するのは、何かありそうだ。 
 『チャルズさん、お願いします。』
そっと手を差し伸べ、握手を求めたシェリーの手。

パチッ

その手は叩かれた。 オヤジチャオによって。
 「お前のその汚い手で、チャルズ様に触るな!」
 『。。。。。はい』

その悲しげな雰囲気。レッド・ブルーと名乗るサイドのチャオも、目を下に向けていた。
もちろん、チャルズだってニコニコしていない。

 「チャルズさん。」
 「ええ。 まだ大丈夫。狙われて居るみたいだけど。」

このページについて
掲載号
週刊チャオ第122号
ページ番号
2 / 4
この作品について
タイトル
世界が壊れる前に。
作者
すたぁ(夕麻神流,梨紗☆浩生)
初回掲載
週刊チャオ第121号
最終掲載
週刊チャオ第125号
連載期間
約29日