ジュエルのチカラ、今ここに!(その8) ページ1
海と大地のハザマにあるという、バイチャオンウエル。
全ての魂の帰る場所とも言われるバイチャオンウエルは、地上ビトの思念による影響を受けやすい場所でもあった。
地上ビトの邪念の象徴と言われるジュエル四天王。その最後の1人、アメジストチャオと闘うチャミーは、戦いの場を地上世界へと移らせた。
地上ビトの邪念を取り入れパワーアップするアメジストチャオのチャオバトラー。
地上世界の大空を自由に飛び回る。
ニュートラのヒコウタイプ。
大きな翼を羽ばたかせ、縦横無尽に空を翔る。
ある一点を中心に、何度も何度も風を切る。どこからか取り出した大刀。ある一点を飛び去る時にその大刀を振るう。
その中心に居るのは、我等がチャミー。チャミーのチャオバトラーである。
元々ハシリタイプなチャミー。チャミーは、飛ぶ事は苦手だ。なんとか空に浮いてることは出来ても、アメジストチャオみたいに自由に飛び回ることは出来ない。
護身用のピコピコハンマーで鋭い一撃一撃を、どうにかさばくだけで精一杯だった。
それではなぜ、地上で戦わないのかって?
それは、仕方の無いこと。
なぜなら、バイチャオンウエルからのチャオロードは、天空に浮かぶエンジェル島よりもさらに上空にその出口を開けていた。
「はっはっはっはあ!いいぞいいぞ。どんどんチャオチカラがみなぎってくる!!」
チャミーを攻撃しながら、アメジストチャオが叫ぶ。
アメジストチャオは、地上ビトの邪念を吸収し、自らのチャオチカラに変える。
ヒトの欲望には、限りがない。
一方チャミーは、地上ビトの希望を自らのチャオチカラに変える。
ヒトの莫大な欲望に比べると希望など、ほんのわずかでしかない。
チャミーの劣勢は、時の流れとともに明白となっていく。
「まだまだチカラが満ちてくる!」
アメジストチャオのチャオバトラーは、地上ビトの邪念を吸い続け、その大きさを変える。なんと、10倍の大きさに巨大化する。
「もう、勝負有りだな。」
ニヤリと笑い、空を翔るのをやめるアメジストチャオのチャオバトラー。
静かに、そして激しく、背中の翼を羽ばたかせ始める。
「そ~ら、バラバラになって地の果てまで吹っ飛べ!ハイパーイカロスハーケン!!!」
「ちゃお~~!!」
チャミーのチャオバトラーは堪らず吹っ飛んでいく。
ぎしぎし。
そのあまりの風圧に、チャオバトラーの装甲が悲鳴をあげる。このままじゃ、本当にバラバラになってしまう!
「大丈夫か、チャミー。」
その時、チャミーのチャオバトラーを後ろから支える何者かの声がする。
チャミーのチャオバトラー。
チャオバトラーを支えられる者は勿論、チャオバトラーでしかない。
チャミーは後ろを振り返る。
「あ、あなたたちは?」
チャミーの後ろには、三機のチャオバトラーがいた。
それは、ルビーチャオ、サファイアチャオ、そしてエメラルドチャオのチャオバトラーだった。
そのチャオバトラーは、ニュートラノーマルの子供チャオの姿だった。
三人はチャミーのチャオチカラにより浄化され、転生したのである。
そしてチャオロードを通り、ピンチなチャミーを助けに来たのだった。
「はっはっはっは。誰かと思えば、お前達か。」
アメジストチャオは三人のジュエルチャオを見て笑う。
「そんなお子様チャオに、俺の相手が務まるかぁ!」
アメジストチャオのチャオバトラーは、空の一点で固まってる四人目掛けて駆け抜ける。
四散する四人のチャオバトラー。
「はっはっはっは。もろすぎるぞ、お前等!」
アメジストチャオは、もうすでに自分の勝利を確信する。チャオバトラーも、ヤツ等の10倍の大きさがあるのだ。
何人でこようが、負ける気はしなかった。
「だが、こっちにはジュエルチャオが、三人いるんだ。」
エメラルドチャオのチャオバトラーが、空中で構えます。
「なに?」
思わぬ発言に驚くアメジストチャオ。
「そう、ジュエルチャオが三人そろう時、」
「初めて生まれる究極のチカラがあるだろう!」
エメラルドチャオの後ろで、サファイアチャオ、ルビーチャオも構えます。
「ま、まさか…。」
アメジストチャオの脳裏に、ある言葉がよぎります。
~ジュエルエクスクラメーション~
チャオの最高位に位置する、ジュエルチャオ三人のチャオチカラを一点に集中することにより、小規模ながら、宇宙創造のビッグバンに匹敵する破壊力を得る。
その破壊力は、あの伝説の宇宙最強のチャオ・ハイパーALifeをも凌ぐ。
しかし本来チャオとは、かわいい存在。
三人がかりで一人を攻撃することは、チャオにあるまじき行為。
その為、当然のことながらこれは禁じ手とされている。
この禁を破ったチャオは全てのチャオの名の下、未来永劫『わるいこ』の烙印を押されてしまうのだ。
「ば、馬鹿な。お前等は『わるいこ』の烙印を一生背負い続けることになるのだぞ。それでもいいのか!」