ジュエリスト(その4) ページ2
「ばいば~い。」
「またね~。」
近所のお子チャオ達と別れるチャミー。
チャミーは楽しいひと時の余韻を引きずり、家路に着きます。
その途中、向こうから1人のチャオが歩いてきます。
深緑色をした、ニュートラノーマルのチャオです。
どこかで会ったような?
そう思いながら、チャミーとその深緑色のチャオがすれ違います。
「貴様より強いチャオがいることを、教えてあげよう。」
深緑色のチャオは、いきなり裏拳をぶちかまします。
チャミーはバック転でとっさにかわします。
「な、なにするちゃお!」
叫ぶチャミーに、おかまいなしの攻撃をくわえる深緑色のチャオ。
チャミーは護身用のピコピコハンマーを取り出します。
ピコピコハンマーを振り下ろすチャミー。
しかし深緑色のチャオは、指1本で受け止めます。チャオに指があるのかは分かりませんが。
「く、こなくそ~!」
今度は、横からピコピコハンマーを振り回します。
しかし今度も、指1本で受け止めます。
「こんなものですか、チャミー・ローズ!」
深緑色のチャオが受け止めた指に力を込めると、チャミーの身体は吹き飛びます。
「今こそ我が恨み、受けるがいい!」
深緑色のチャオの身体が、光りだします。その光沢は、まさしくエメラルド。
とがった尻尾、頭から長く垂れ下がった二つの突起物。天を突くような二本の角。燃えるようおてて。そして、燃え盛るチャオのアレ。
その姿は究極のダークチャオ、ダークカオスです。
「まさか、…。チャビン?」
チャミーはエメラルドチャオの昔の名前を言います。
エメラルドのダークカオスは、チャミーに蹴りを入れます。
「そんな名前で呼ぶな!オレは、エメラルドダークカオス!積年の恨み、今こそ晴らす。
これであの世に逝けえ、鳳凰天舞!」
エメラルドダークカオスは、チャミーの周りを駆け回ります。
いつしかつむじ風をよび、対象のチャオの身体を宙に浮かせ、周りから無数の蹴りをぶち込みます。
その蹴りの力のベクトルが合成され、対象のチャオは上空高く吹き飛び、そこにさまざまな追撃を加える。
元々、チャミーの超絶必殺技です。
それを、やすやすやってのけるエメラルドダークチャオ。
チャミーはエメラルドダークカオスの蹴りの力を受け流し、上空へと吹き飛ばされる力のベクトルの合成を阻止します。しかし、そのダメージは確実に蓄積されていきます。
「ふふふ、これではらちがあきませんね。」
エメラルドダークカオスは、チャミーの背中にドロップキック!
チャミーの背中に両足を当てたまま、足先を上空へ向け、そのままチャミーを蹴り上げて上昇します。
一定の高さまで上昇した後、エメラルドダークカオスは向きを変え、チャミーの身体をサーフボードに見立て、その上に乗ります。
「いっけぇ、チャオインフェルノ!!」
チャオインフェルノ。
三つの幻の必殺技の一つ。
かのチャオスパークと一緒に、天空に浮かぶチャオ神殿の壁画を飾ります。
対象のチャオの身体をサーフボードに見立て、対象のチャオの頭を岩などに激突させます。
強烈な一撃を受けたチャオの身体は普通、ポッコ~ンと吹っ飛びます。
しかし、その吹っ飛ぼうとする力に逆方向の力を常にかけてやることにより、対象のチャオの身体はその場にとどまり、双方向からのダメージが蓄積さえていきます。
どさっ。
うつ伏せに倒れるチャミー。頭の上の渦巻きが、なかなか元に戻りません。
「はっはっは~。チャミーよ、今度のC−1グランプリでは、満場のチャオ達の目の前で、貴様を処刑してあげましょう!」
「チャオチカラのバランスが崩れた?」
ジュエル城の書庫でアメジストチャオは、バイチャオンウエルを流れる風の変化を感じ取ります。
アメジストチャオは真相を確かめる為、ジュエル城の千里眼池を覗きます。
なんと、傷つき倒れるチャミーの姿が見えました。
「な、あのチャミーが?一体誰が?ん?」
ふと、ジュエル城の玉座の間に、ただならぬ気配を感じます。
アメジストチャオが玉座の間に駆けつけると、一人の深緑色のノーマルチャオが玉座に座ってます。
「き、貴様、そこはオレの座る玉座だ。そこをどけ!」
アメジストチャオが深緑色のチャオの身体に触れると、そのチャオは身体を輝かし、その正体を明かします。
エメラルドダークカオスの降臨です。
その輝きに、アメジストチャオは吹き飛ばされます。
「貴様ぁ、あのエメラルドチャオか!」
アメジストチャオは、どこからか剣を取り出し、かまえます。
エメラルドダークカオスは、左手をかざします。
「オレの名は、エメラルドダークカオスだ。お前の知る、以前のエメラルドチャオでは、ない!」
エメラルドダークカオスの念力により、アメジストチャオの剣が主の手元を離れます。
そしてアメジストチャオの剣は空を左右に飛び、主の体を傷付けます。
倒れるアメジストチャオ。
エメラルドダークカオスは、アメジストチャオのチャオのアレをつかみ、持ち上げます。
アメジストチャオの身体も、徐々に持ち上がっていき