チャミーGoFight!(その3) ページ5
「満場のチャオ達よ、よく見るがいい。敗れさりしチャオの惨めな姿を!」
サファイアは、勢いよく仮面を放り投げます。
しかしその時、突然の豪雨が降り注ぎ、サファイアの素顔がよく見えません。
「チャミー、私はおもちゃおなんだ。」(ひら仮名表記なのに注目。)
激しい雨の中、チャミーに話しかけます。
「チャオでもない、オモチャオでもない私は、チャオの仲間にも、オモチャオの仲間にも入れてもらえなかった。」
サファイアは、子供の頃の記憶を思い出します。チャオやオモチャオにいじめられた記憶です。
「そんな私が行き着いた先は、格闘技だった。格闘技の世界にチャオも、オモチャオもない。勝った者が全て。
私はいつしか、物言わぬファイティングコンピューター、サファイアチャオと呼ばれるようになっていた。」
サファイアは自分の両手の掌を見つめます。
今まで、どれだけのチャオをこの手で殺してきたのでしょう?
そんな地に汚れた手を握り締めます。
「私はこれまで、対戦相手を半殺し以上の目にあわせないと、気が修まらなかった。
しかしチャミー、君との試合は違った。なぜだかは、私にも分からない。しかし、これだけは言える。君のようにクリーンファイトで私と闘った者は、君が始めてだ。うっ。」
チャミーの鳳雷脚のダメージは、まだ抜け切れていない。
サファイアはバランスを崩す。
そこへ駆け寄るチャミー。
「来るなぁ!」
サファイアが叫んだ時、雷が落ちます。
その光りが、サファイアの素顔をあらわにします。配線や基板、ICチップ等で組み立てられた顔でした。
サファイアはそのまま倒れます。
チャミーはサファイアの仮面を拾うと、倒れたサファイアの前にしゃがみこみます。
「確かに試合結果では、アタシの勝ちちゃお。でも、試合内容では、アタシの完敗ちゃお。」
チャミーはサファイアの素顔に仮面をかぶせます。
突然光りだす、チャミーとサファイアチャオのチャオのアレ。
光りはサファイアチャオの身体を包み込み、その光りが収まった時、チャミーの傍らに一つの卵がありました。
サファイア色の卵です。