チャミーＧｏＦｉｇｈｔ！（その３） ページ4

「うるさ～い！」
エメラルドは、ミィを殴り飛ばします。
エメラルドがミィから闘技場に視線を戻すと、目の前にサファイアが立っています。
サファイアは、エメラルドを殴ります。
もしサファイアの左手に鉄の爪が装備されていたら、エメラルドは再起不能だったでしょう。

そんな中断の後、チャミーとサファイアの対戦が再開されます。
サファイアはダッシュで突っ込むと、チャミーの目の前でジャンプし、一回宙返りをしてチャミーの後ろを取り、そのまま両足で後方蹴りを放ちます。
今まで鉄の爪に頼ってたサファイアの攻撃が、ハシリタイプ特有の足を生かした攻撃になります。
翻弄され続けるチャミー。
「こいつ、爪を外した方が強いちゃお！」

チャミーはサファイアの右パンチをつかみ、背負い投げに移します。
しかしサファイアは自ら飛び、技の勢いを殺します。背中からではなく、両足で着地。
サファイアはしゃがみこみ、チャミーの足を水面蹴りで刈ります。
チャミーはサファイアの上に転びます。サファイアは両足でチャミーの身体を受け止めると、そのまま上空へと蹴り上げます。
サファイアは、チャミーを追ってジャンプ。
上空のチャミーに、脇固めを決めます。
チャミーは切り返し、ブレーンバスターに捕らえます。
サファイアは切り返し、パイルドライバーに捉えます。
チャミーは…。
二人のチャオは、上空から落下する間に技を掛け合います。
そして二人が闘技場に落ちた時、サファイアの技がチャミーに決まります。

サファイアの右足はチャミーの首をロックし、左足はチャミーの左モモをロックします。
サファイアの両手はチャミーの両手首を押さえます。
ハシリタイプの脚力で、サファイアが両足を締め上げると、チャミーの身体はくの字に曲がります。
左足が持ち上げられ、右足１本でバランスをとる体勢になるチャミーには、かなりきつい体勢です。

「あ、あれはまさか幻の必殺技、チャオスパーク？」
その技にミィは驚きます。

三つの幻の必殺技。
それは太古の昔、チャオの肉体を駆使して繰り出される、最大最強の技として考え出された三つの必殺技です。
理論上は可能とされてはいるが、チャオの歴史上、それらの技をマスターしたチャオはまだ、１人もいませんでした。
この三つの必殺技は、天空に浮かぶエンジェル島にあるチャオ神殿の壁画に描かれています。

「は～はっはっは～。これでサファイアチャオの勝ちは決まりですね！」
打倒チャミーを目前に、エメラルドは興奮します。

チャミーは意識が遠のきます。
右足１本で立つチャミー。しかし、技全体の釣り合いから、チャミーは倒れたくても倒れられません。
このまま身体を折り曲げられるか、意識が落ちるか。
その二つしかチャミーに選択肢はないのです。

ここまでちゃお？
チャミーがそう思った時、サファイアの両肩から煙が立ち昇ります。
ポン。
観客のチャオ達は一斉にハテナマークを浮かべます。
しかしエメラルドチャオだけ、ビックリマークです。
「しまった。試合開始から、２０分を過ぎてしまった。
今までサファイアはどんな相手でも、５分以内に倒してきました。その為サファイアのコンピューターにはいつの間にか、５分以内に敵を倒すプログラムが組まれてしまいました！
　この１５分の超過は、どんなにサファイアのコンピューターに負荷を与えたことでしょう！」

お湯を注ぐインスタントの焼きそばを、２０分も放っとくと、湯切り不要になります。
それと同じ原理ですね。

観客全員が一斉にハテナマークを浮かべた時の音が、すさまじい衝撃波となりました。
サファイアの仮面に、無数のひびが入ります。
「コー！」
両手で仮面を押さえるサファイア。
「今ちゃお！」
チャミーは千載一遇のチャンスにかけます。
「七色の蹴り技の一つ、鳳～雷～脚～！！」（ただのカカト落し。）
ポコ。
チャミーのカカト落しが、サファイアの脳天を直撃。ゆっくりと崩れ落ちるサファイア。

「ま、まさか。チャオスパーク以上の技があるとは…。」
エメラルドが驚く目の前で、サファイアは立ち上がることが出来ません。
チャミーのＫＯ勝ちです。いや、これは覆面剥ぎデスマッチ。
相手のマスクを取らないと、勝ち名乗りは受けられません。

「死闘を闘ってきた者として、仮面を剥ぐのは気が引けるちゃお。でも、ルールはルール。許せちゃお。」
チャミーは、サファイアの仮面に手を伸ばします。
「その必要はないぜ、チャミー。」
仮面に手をかけようとするチャミーに、サファイアが言います。
「あ、あなた、しゃべれたのちゃお？」
サファイアはよろけながらも立ち上がり、仮面に手をかけます。

「満場のチャオ達よ、よく見るがいい。敗れさりしチャオの惨めな姿を！」
サファイアは、勢いよく仮面を放り投げます。
しかしその時、突然の豪雨が降り注ぎ、サファイアの素顔がよく見えません。

「チャミー、私はおもちゃおなんだ。」（ひら仮名表記なのに注目。）
激しい雨の中、チャミーに話しかけます。
「チ