その1 ページ2
「なにも?」
そう言ってミィは振り返る。
「え~え、なにも変わってませんよ~だ。あの青い疫病神が来た時からなにもね~!」
そう言いながら、アッカンベーをするミィ。
「や、疫病神ってなにちゃお~?」
チャミーが問い詰める。
「チャニックのことちゃおか?チャニックは、そんなチャオじゃないちゃお!」
チャミーは、羽ばたいているミィをぎゅっとふん捕まえる。
「ちょ、チャミー、痛いよ。」
ミィの言葉に我に返り、手を緩めるチャミー。
「チャミー、帰って来たんだってぇ?」
突然、チャミーんちの扉が開かれる。
そこには、1人のチャオが立っていた。
ニュートラチカラタイプのそのチャオは、深紅に映える身体であった。
そう、ルビーチャオである。
「あ~、ジュエル四天王!なにしにきたのよう!」
ミィはそう叫ぶと、ルビーチャオの目の前に飛んでいく。
「ふん、チャラリオになんて用は無い。」
「約すなぁ!アタシは、チャ・フェラリオよ~!きゃあ!」
ミィがしゃべり終わる前に、ルビーチャオの裏拳がミィを襲う。
ミィはふきとばされ、壁に激突。
「ちょ、ちょっとあんた、なにするちゃお!」
チャミーはピコピコハンマーを握り締め、ルビーチャオに狙いを定める。
しかしルビーチャオは、ハンマーの柄を握るチャミーの手を押さえる。ピコピコハンマーは、不発に止められる。
「お前、今度のC−1グランプリに出るんだろ?」
「そんなの、あんたには関係ないちゃお!」
チャミーは、ハンマーを振り下ろす腕に力を入れる。
「今度のC−1グランプリは、武器の使用も可だ。そのチャラリオの敵を討ちたかったら、参加するんだな!」
ルビーチャオは力任せにチャミーのピコピコハンマーを奪い取り、そのままミィ目がけて投げ飛ばす!
ピコピコハンマーは、ミィのわずか横の壁を直撃。壁に大穴をあける。
「ちゃっちゃっちゃっちゃっちゃ~。」
ルビーチャオは、笑いながら去って行った。
「ミィ、大丈夫ちゃお?」
ミィの側に駆け寄るチャミー。
「あ、アタシは平気よ。」
ふらふらと立ち上がるミィ。
「それにしても、あいつ何者ちゃお?」
「あいつは、ジュエル四天王の1人。」
また出てきたジュエル四天王という言葉。
「ねえ、そのジュエル四天王ってなにちゃお?」
バイチャオンウエルに帰って来た時から耳にしていたその言葉。
チャミーは、それを初めて聞いてみる。
「なにもかも、変わってしまった。あの疫病神が来てから。」
ミィはそう言いながら、窓の外を眺める。
「ミィ、教えてちゃお。一体なにがあったちゃお。バイチャオンウエルに、なにがあったちゃお?」
ジュエル四天王と、疫病神とされるチャニック。そこになにかの因果関係を感じるチャミー。
ミィは、説明を始める。
「チャミー、このバイチャオンウエルがどういう場所か、知ってるよね?」
チャミーは、うなずく。
「海と大地のハザマにある、魂の帰る場所。バイチャオンウエルと地上とをつなぐ、チャオロードをあの青いカケチャが開けてしまった。」
チャオガーデンから外に出る時、チャオはお散歩マシーンの中から、ガーデンの外に出る。
お散歩マシーンとは、ガーデンと外界とをつなぐ機械である。
チャオロードとは、バイチャオンウエルと地上とをつなぐ道である。
「ここは、地上ビトや地上チャオの思いによる影響を受けやすい場所。」
ミィのその言葉に、チャミーははっとする。
スペースコロニーチャークで聞いた、チャラルドチャオトニックの言葉。
『人類とは、同種族同士で殺しあう、おろかな生き物ちゃお。』
本当は、気の遠くなるような時間をかけ、徐々に影響を及ぼすのが常だった。
しかしチャオロードが開いたことにより、その影響がダイレクトに響いたのだ。
「でも、チャニックは、そんなチャオじゃないちゃお。」
チャミーはミィの前にしゃがみこみ、うっすらと涙を浮かべる。
「チャミー?」
ミィは、そんなチャミーの頭上で光るモノを見る。
それは、チャミーのチャオのアレである、チャミーのチャオのアレは、ほのかに、それでいて暖かい光を放っている。
「チャミー、あなたのチャオのアレ、さわらせて。」
ミィはそう言うと、チャミーのチャオのアレに触れる。
「こ、これは…。」
ミィの目に、涙が浮かぶ。
「どしたちゃお?ミィ。」
「わっ。」
突然ハテナマークになるチャミーのチャオのアレに驚くミィ。しかし、その球体部分をしっかりだきしめる。
「これは、浄化の光。」
ミィの体から、ルビーチャオから受けたダメージが癒えていく。
「チャミー、教えて。あの青いカケチャは、何者なの?」
チャミーは、ミィの問いに答えた。
チャニックを追い掛け回した日々。
そして、監獄島に閉じ込められてから、宇宙に飛び出し、金色の体になったこと。
「え?それって、伝説の宇宙最強のチャオ、ハイパーALife?」
「なにそれ?アタシは知らないちゃお。でも、チャニックの名前は、チャニックTheALifeちゃお。」
チャミーには分からなくも、ミィにはそれで十分だ