その1 ページ1
「なんかアイツ、さびしそうだったちゃお。」
チャークにはりついた、プロトタイプ。
それを倒して、一人戻ってきたチャニック。
地上の全ての生命を救ったチャニック。
そのわりには、うれしそうな様子は無かった。
ナニがあったのだろう?
それは、チャニックしか知らない事。
「まあ、しばらくそっとしといてあげるちゃお。」
チャミーは、チャオワールドをあとにして、海と大地とのハザマにあるという、バイチャオンウエルに帰ってきた。
(チャミーは、異世界のチャオという設定でした。)
いつ以来だろう?
チャミーは記憶をめぐらせる。
お散歩中の青いカケチャが、このバイチャオンウエルに迷い込んだ時、彼を追いかけてこの地を離れたチャミー。
それは、遠い日のようでもあり、つい最近の事でもあり。なぜか、チャミーの記憶は定かではなかった。
アタシ、どうしたんちゃお?
そんな自分を、いぶかしく思うチャミー。
「あ、チャミーちゃお!」「チャミーが帰ってきたちゃお~。」
ふと、そんな声が聞こえてくる。
チャミーは顔を上げ、声のしたほうに目をやる。数人の子供チャオ達が、駆け寄ってくる。
「あなたたち、元気だったちゃお~?」
チャミーの記憶には、確かに存在する子供チャオ達であった。そう、子供チャオ達である。
「チャミー、突然居なくなるんちゃもん。」
「かわいいから、誘拐されたか思っちゃったちゃお。」
子供チャオ達は、チャミーが居なくなった事への不満を、矢継ぎ早に言ってくる。
チャミーは、苦笑いをしながら聞いていた。
「そうちゃお、今度のC−1グランプリ、チャミーも出るちゃお?」
一通りの不満を言い終わった後、1人の子供チャオが言った。
C―1グランプリ。
バイチャオンウエル1強いチャオを決める大会。
以前チャミーはその大会で優勝し、賞品のピコピコハンマーをゲットした。
「今度の賞品は、ロングハンマーちゃおって。」
「ふ~ん。」
チャミーは、ピコピコハンマーを取り出した。
元はおもちゃだったのだが、護身用にと改良を加え、今や立派な武器になっていた。
これじゃ気軽にお友達を叩くことも出来ない。
「出てみようちゃおかしら。」
それを聞いて、喜びに目を輝かせる子供チャオ達。
「わ~い、チャミーが出るちゃお~。」
「ジュエル四天王も、目じゃないちゃお~。」
それは、チャミーの聞き慣れない言葉だった。
「じゃあ今日は、チャミーが戻ってきたお祝いと、C−1グランプリ優勝のパーティーを開くちゃお!」
「いいねえ。」
「みんなでチャオの大好きなイチゴのシチューを作るちゃお!」
「わ~い、楽しみちゃお。じゃあ、出来たら迎えに行くちゃお。」
子供チャオ達は、チャミーと別れ、パーティーの仕度にとりかかった。
聞きたい事のあったチャミーだが、ひとまず自分の家に戻ることにした。
いつ以来だろう?この家に戻って来るのは。
だが、チャミーの記憶はなぜか、定かではなかった。
家の扉を開けるチャミー。
その中は、チャミーが出て行った時と変わらず、綺麗なままだった。
チャミーは中に入り、窓から外を眺める。
それは、チャミーの記憶の中にある風景と変わらない風景だった。
「こら~、いままでどこ行っていた~!」
突然、かん高い声が、チャミーの耳をつんざく。チャミーは、声のした方を振り返る。
人間の女の子に羽を生やしたような外見。
背丈は、チャオの頭の上に浮かぶ丸い球体と、同じくらい。
ひらたく言えば、妖精みたいなものである。
「あ、ミィ、久しぶりちゃお。」
チャミーはにっこり微笑むと、右手を上げる。
「なにが久しぶりだ、こんのぉ!」
ミィと呼ばれた妖精は、チャミーの頭をぶん殴る。
いや、ミィは妖精ではない。チャ・フェラリオと呼ばれる、このバイチャオンウエルの住人である。
このバイチャオンウエルには、チャオ以外の住人もいた。チャ・フェラリオも、そんな住人の1人である。
「痛いちゃお~、ナニするちゃお。久しぶりの再会ちゃおにぃ。」
チャミーは殴られた頭をさする。
「なによなによ、ヒトにこんなに心配させてぇ!」
ミィは、チャミーの頭をぽこすかと殴る。チャミーも、さびしかったであろうミィを見ていると、ミィの気が済むまで、殴らせてあげようと思った。
「はあ、はあ。」
そんなに体力の無いチャ・フェラリオ。すぐに殴り疲れてしまった。
「いつあなたが帰ってきてもいいように、ず~っとお掃除してまってたんだからねぇ。」
ミィは、ちょっとてれたように言う。
「ありがとうちゃお。ミィ。ただいまちゃお。」
「ふんだ。とってつけたようにいっちゃてぇ。」
ミィは、そっぽをむいて答える。
チャミーが帰って来たうれしさの反面、勝手に飛び出したチャミーへの怒りもあるのだ。
素直に喜びだけを表現できないミィである。
「なにもかわってないみたいちゃおね。」
そんなミィを見てチャミーは言う。
「なにも?」
そう言ってミィは振り返る。
「え~え、なにも変わってませんよ~だ。あの青い疫病神が来た時からなにもね~!」
そ