第五話『闇に消えた時間』
ドビュー達は遠くに見える闇に向かって走った。だが、グロウンの街は近づかない。それも当然。本来ならあと一日かけなければ、着かない場所だ。
ント「くそっ…こんなんじゃいつまで経っても着かないぜ。どうするドビュー」
ドビュー「………いや、思い付かない」
本当に為す術がない。彼等に残された道は、走り続ける事。ただそれだけだった。
数時間後
三人は、グロウンの前に立っていた。
ドビュー「はぁ…はぁ…っ。やっと着いたぞ」
ント「行くぞ!」
ントの顔には、ドビュー程の疲れは見えない。それもそのはず。彼は、突破型なのだから。走るのには、慣れている、という訳だ。
グロウンに足を踏み入れると、あまりにも殺伐とした景色が、広がっていた。
ドビュー「そんな……。三日前に俺達の街を潰したばかりなのに。もう、グロウンまで…」
クロード「ドビューさん、ントさん……」
ント「うっせぇ!……くそっ…」
ドビューとクロードの心は完全に掻き乱されていた。
そんな三人の目には、アス軍の残党の姿が……
ドビュー「ぅらぁぁああああ!」
ント「ぅぉぉおおおおお!」
二人は、彼等の威圧に驚いているクロードを差し置き、アス軍に突撃した。ゆうに百を越えるであろう軍勢に。
数分後、この地に立っているのは、ドビューとントだけだった。
グロウンの地にアス軍はいなくなったものの、この地が元に戻るのには、相当な時間を要するだろう。
ドビュー「ラウさん……必ず……俺が…」
ドビューは闇模様の空に誓った。日は既に沈んでいた。
ント「……行こう…」
ントがラウの倉庫から武器を取り出して来た。
三人は、手に手に武器を収めた。
彼等は歩き出した。
時間は待ってはくれない。それは、今までもこれからも変わらない。
だが、闇に消えた時間が彼等を成長させた。
彼等は歩き出した。
まだ見ぬ光を見る為に。
続