第四話『アス軍の影』
ドビュー達三人は、エスピスの西に位置するグロウンへと歩を進めていた。
グロウンまでは相当の距離がある為、二、三日しなければ着かないだろう。
ント「なぁ、ドビュー。なんで西に行くんだ?オスラドは、東だろ?」
ドビュー「そうだが、今の俺達は何も持っていない。せめて、武器だけでも…」
ント「そうか!ラウじいさんの所か」
ドビュー「そゆこと」
グロウンには、アイマス(チャオ達の世界)一と言われる武器職人、ラウが住んでいる。アーツ隊もこの上なくお世話になった人である。
そんな会話をしていると、
クロード「ドビューさん、グロウンまではどのくらいかかるのですか?」
ドビュー「あぁ…だいたい二、三日くらいかな……って、大佐?」
ドビューは気付いた。大佐が喋れるようになった事に。
クロード「僕は、タイサなんて名前じゃないですよ~。クロードですって」
ント「やっぱ記憶、戻ってないかぁ。まぁ気にすんな!呼び方なんてさ」
最後の言葉はクロードへの言葉だった。
大佐の記憶は微塵も残っていなかった。
大佐が喋れるようになったイコール成長。つまり、歩けるようになった為、移動所用時間が短くなり、予定より、大分進む事が出来た。
ドビュー「よし、この調子なら、明日の日没までには着きそうだ」
ント「じゃあ、明日に備えて寝ようぜ」
クロード「おやすみなさい、です」
数時間後、夜の静寂を破る轟音が三人の耳を刺激した。
ドビュー「なんだ?………なっ!」
ント「くそっ!やられた」
見上げた瞳には、グロウンを飲み込む黒い影が映っていた。
クロード「あの方向は、グロウンではないのでしょ……」
ドビュー・ント「行くぞ!!」
二人は、クロードが言葉を言い終える前に走り出していた。
遠くに映る影に向かって。辺りは、まだ暗い。夜は、まだ続く……
続