第八話 敵将七人、ついに現る! <レイラ編>

グラーフ「なんだ、もう終わりか。さてと、他の戦いでも見ることにするか・・・」

グラーフがその場を立ち去りかけた時だった。

レイラ「・・・まだ・・・勝負・・・はついて・・・ない・・・」

レイラは生きていた。 あれほどの攻撃をまともに受けながらも、レイラには立ち上がる気力が残っていた。

グラーフ「何・・・こいつはこの攻撃だけでは死なないというのか・・・」

レイラ「・・・お前らが・・・私たちの道を阻むというなら・・・私は容赦しない・・・」

しかし、レイラは先程の攻撃で多大なダメージを受けている。 立っているのが不思議なほどだ。

グラーフ「その気力、尊敬に値する。それに敬意を表し、次の一撃であの世へ送ってやろう。」

レイラ「二度と倒れはしない・・・お前を倒すまでは・・・!」

吹き荒れる風の音しか耳に届かない。 やがて、その風の音さえも聞こえない、静けさが辺りを覆った。

グラーフ「この世の終わりを告げるただ一人の尊き神、ダークカオスよ、我に力を与えよ。氷の神ウンディーネの名において、神の裁きを下す。・・・フリージング・セイヴ・・・」

先に動いたのはグラーフだった。

その動きをレイラは見逃さなかった。

レイラ「―エヴァウス・クレイ・ラヴァー(冷気・盾・吸収)」

グラーフの氷の槍は、レイラの大きな盾に阻まれてしまった。

レイラ「この盾は、これだけじゃないよ?」

レイラがそう言うと、阻まれて突き刺さった青く光る槍が一層輝き始めたのだった。 その光は帯となってレイラを包み込んだ。

グラーフ「っく・・・一体なんなんだ・・・」

レイラ「今度は私の番だよ・・・」

レイラはそう言うと、長い魔旋律の詠唱をはじめた。

―氷の神ウンディーネよ、我が祈りを聞け 氷に染まりし我に力を与えよ 闇に染まりし悪の化身に神の裁きを・・・氷の息吹、エヴァウス・ソルト・・・!」

レイラが魔旋律を言い終わると同時に、吹雪が起こった。

その吹雪はグラーフを覆い、グラーフの体力をじわじわと奪っていった。

そして、グラーフはついに力尽き、その場に倒れてしまった。

グラーフ「くっ・・・この俺がやられるとは・・・」

レイラ「グラーフ、お前はこのままでいくら向かってこようと、私には勝てない。 心の強さで負けているからね。」

グラーフ「心の・・・強さ・・・?」

レイラ「それがわかった時、もう一度勝負しよう。・・・楽しみにしてるよ。」

グラーフ「・・・その時は・・・必ず俺が・・・勝つ。」

レイラ「・・・待ってるから。」

レイラはそういい残すと、吹雪を止め、仲間たちの元へ歩き出した。

―――――レイラ編 完

このページについて
掲載号
週刊チャオ第159号
ページ番号
15 / 21
この作品について
タイトル
理想郷へ ―果てしなき世界―
作者
桜(フィルァ,チャチャ,飛諏珂)
初回掲載
週刊チャオ第153号
最終掲載
週刊チャオ第163号
連載期間
約2ヵ月12日