第七話 草原を駆ける男(後編)
クロウ「―バレグ・ミル・イル!(行け・雷・玉)」
レイラ「―バレグ・エルマ・アファル!「(行け・氷・鉤爪)」
フローラ「―オース・クレイ!(光・盾)」
ファング「―バレグ・ノース・アヴェイ!(行け・炎・槍)」
ミラ「―イ・フォン・ヒアム!(舞う・水・龍)」
四人は、それぞれ得意な魔法で応戦する。戦うのが苦手なフローラは、盾を作ったり、傷を癒すなどのサポート役だ。
魔物「キキキッ!」
魔物が爪を振り下ろす。
ファング「! よけきれねぇ! ぐっ・・・」
ミラ「ファング!」
フローラ「任せてください! ―エクレ・ホーマ・フール(他人・癒す・傷)」
シュオォッ・・・
フローラの手から発せられた光は、帯となってファングの傷を負った左手に巻きつき、瞬く間に治していった。
ファング「すまねぇ。助かったぜ。」
レイラ「ちっ・・・数が多すぎる・・・このままじゃ・・・」
???「そこをどけ。」
ファング「! お前は・・・」
???「朝は、いきなり襲い掛かってすまなかった。俺の名はクリス。魔物と戦っているのを見て、見過ごすわけにはいかない。俺もともに戦おう。」
クロウ「・・・助かるぜ。でも、ここに手を出した以上、100%助かる見込みはないぜ?」
クリス「構わない。・・・いくぞ。」
クリスの戦いはすさまじかった。よほど魔物との戦いに慣れているらしく、次々と襲い掛かる魔物を倒していった。
クリス「―バレグ・ルーマ・イル」
魔物「キッ・・・キキィー!」
レイラ「・・・なかなかやるわね・・・あいつ。」
それから、十分後。
ミラ「よしっ!最後の一匹も倒したわ!」
ファング「よく頑張ったな。・・・クリス、改めて礼を言う。」
クリス「礼には及ばない。・・・ところで、なぜこんなところに?」
クロウ「ダークカオスが現われたんだそうだ。学校から俺達は逃げて、チャオの楽園を探している途中なんだ。」
クリス「そうか・・・ダークカオスがついに動き出したのか。」
ミラ「クリス、私たち、そろそろ行くわ。」
クロウ「じゃぁな。」
クリス「・・・待ってくれ。」
フローラ「? どうしたんですかぁ?」
クリス「俺も一緒に行こうと思う。最近、魔物が活発なのも危険だし・・・なにより、こいつが危険だ。」
レイラ「・・・こいつ?」
クリス「セリア、こいよ。」
クリスが呼ぶのと同時に、姿隠しの魔法を解いて現われたのは、幼げな少女だった。
ミラ「・・・すごい・・・私でも気配がつかめなかった・・・」
クリス「こいつは、セリア。俺がここに来るより先に、ここに住んでいた。捨て子だったらしい。」
セリア「・・・よろしくお願いします。」
ミラ「セリア、あなたすごい魔法が使えるのね。よろしくね。」
レイラ「・・・戦力ゲット。」
クロウ「そっちかよ! ・・・とりあえず、よろしくな。」
フローラ「よろしくお願いしますねぇw」
ファング「こちらこそよろしく。」
クロウ「じゃぁ、そろそろ行くとするか。」
全員「おぅ!」