Act.9 激動
神凪はアリサに問う。
【神凪】「アリサ、どうすりゃいい?」
【アリサ】「やっぱり、一番はチャオBだけど…今は書き込めないから…週チャオの掲示板!」
黒川のパソコンを借りて、掲示板を開くアリサ。
【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act9.激動
【アリサ】「ハンドルネームは・・・とりあえず『K』にしときましょう。」
そして、文章を考える。
【アリサ】「実は、今起きている行方不明事件は・・・」
バカ正直に行方不明事件のことを書こうとするアリサだったが、
【黒川】「・・・それじゃダメよ・・・」
【神凪】「黒川さん!?」
黒川が止めた。
【黒川】「本当の事を書いたら、大騒ぎになるに決まってるでしょ・・・!」
私に任せて。」
そう彼女は言い、隣の2台目のパソコンでカタカタと文章を打ち込み始めた。職業が職業なだけあり、パソコンは部屋に5台ほどある。
【神凪】「黒川・・・さん・・・」
さっきまで無理だと笑い飛ばしていた黒川が、必死になって文章を打ち込んでいる。そのスピードはまさに天才。
さらに、打ち込みながらこうつぶやいた。
【黒川】「こんなもので、私の罪が拭えるとは思ってないけど・・・奇跡が起こせるなんて思ってないけど・・・
私はやっぱり、チャオが大好きだから・・・!!」
気がつくと、彼女の頬には涙が伝わっていた。
▼週チャオを見ている皆さんへ K 08/12/23(火) 12:23
突然ですが、はじめまして。
私はソニアド1の発売日からずっとチャオを育て続けています。
今までこういう場所は見るだけで書き込むことはありませんでしたが、ここを見ている皆さんに、ある提案をしたいと書き込みをすることにしました。
今日はチャオ10周年というとてもめでたい日ですね。
折角ですから、最近チャオと会ってない皆さんも、久しぶりにチャオと会ってみるのはどうでしょう?
中には、ゲームキューブやドリームキャストが今は手元にないって人もいるかもいるかもしれません。
そういう人も、ちょっとだけでもいいので、チャオのことを考えてみるのはどうでしょう?
考えた内容を、このチャオBに書いてみるのも、面白いかもしれませんね。
また、皆さん、最近チャオを育てなくなったお友達は周りにいませんか?
今日はチャオの誕生日だよ、と周りに教えて、みんなで久しぶりにチャオを育てたりしてみませんか?
チャオが育てられる新作のゲームが出なくなってから随分経ちますが、みんなが少しづつそうやってチャオのことを考えていれば、奇跡だって起こっちゃうのでは、なんて考えています。
私も今は仕事が随分忙しくなってしまったので、多分お返事をもらってもお礼をすることはできないと思います。でも、なるべく時間を作って、全部読みたいと思います。
それでは、失礼します。チャオガーデンで会いましょう!
【神凪】「すげぇ・・・」
数分後には、この内容のメッセージが書き込まれていた。
【神凪】「でもこれ、完全に黒川さん視点だよね・・・」
【黒川】「こうでもしないと説得力がないでしょ・・・」
すると、隣でアリサが驚きの声をあげる。
【アリサ】「ウソ!?もうレスが!?」
【神凪】「マジかよ!!」
確かにレスがついていた。
『いいですね!ぼくも友達に言ってみんなでチャオを育てます!』
その後も、続々とレスがつく。その様子をリアルタイムで見ていき、驚く3人。
【アリサ】「もうこんなに・・・!?」
もちろん、そのレスの全てが、賛同の声である。・・・そして。
【黒川】「これは・・・そんな・・・!?」
【神凪】「どうしたんですか?」
【黒川】「闇の侵食のスピードが・・・止まった・・・っ!!」
そう、みんなが掲示板に書き込み、チャオを育て始めたのだ。
やがて、モニターに表示される侵食率を示すグラフは、逆方向へと動き始める。
【神凪】「闇の侵食が消えていく・・・」
【アリサ】「いける!これならいけるわ!!」
【黒川】「自分が作ったプログラムが敗れるところを見るのは・・・あまりいい気分はしないものね・・・」
そんな中、黒川は再び下を向いた。それを見た神凪は、彼女の肩をポンと叩いた。
【神凪】「俺はとっくにチャオなんか忘れてた人間だから大きい事は言えねぇけどさ・・・
天才プログラマーなんだろ?だったら、もっと頑張って、世間を驚かせてやれよ。
それが、チャオラーさんにとっての希望になるんじゃねぇのかな・・・チャオ好きが世界を動かしてる!ってな具合にな。」
黒川はなおも下を向いたまま言う。
【黒川】「私にそんな大層なことができるかどうか・・・」
【神凪】「できるさ。現にこんなデカイ騒ぎやらかせるぐらいなんだしな。」
そこで、ようやく黒川は顔をあげた。
【黒川】「そうね・・・最も、私がチャオ好きだなんて、誰も知らないでしょうけど・・・」
【アリサ】「2・・・1・・・0!!闇の侵食、完全に消滅・・・!!!」
<続く>