Act.3 始動

決めた神凪。受けたアリサ。するとアリサは右手をサッと振ると、光の剣を作った。

【アリサ】「とはいえ、フツーの人間をいきなり戦場に放り込むワケにもいかないし。
      かといってのんびり鍛えてる暇も無さそうだし・・・この手でいくわ。ちょっとコレ持って。」
するとその光の剣を神凪に渡す。受け取る神凪。
【神凪】「な、何を・・・」

すると次の瞬間、アリサの姿までも消えた。


               【REMEMBER!![リメンバー!!]】Act3.始動


【神凪】「・・・おい、アリサ!?・・・まさか!?」
アリサすらやられたか。全てを覚悟した瞬間、異変が起こった。

光の剣を持った右手が、勝手に動いたのである。

【神凪】「!?」
すると、彼の脳内に声が響いた。
【アリサ】(いわゆる憑依ってヤツね。あたしが体を動かすから、アンタは感覚を覚えなさい!)
アリサは神凪の体を乗っ取って操り、神凪に無理矢理「戦いの感覚」を覚えさせようという腹積もりである。
【神凪】「えええっ!?ってか、敵なんているのかよ!?」
ごもっとも。剣を持ったところで、敵がいなければ意味は無い。

が、彼女にはアテがあった。
【アリサ】(この感じ・・・学校!)
【神凪】「分かるのかよ!」
【アリサ】(あたしを誰だと思ってるのよ!)
・・・神様です。

という訳で、アリサは神凪を『操って』、学校の方へと駆け出した。

神凪は走らされながら、アリサの話を聞かされる。といっても、自分以外には聞こえるはずもないが。
【アリサ】(あーそうそう。あたしに話しかける時は、念じるだけで大丈夫よ。誰もいないのに喋りまくって頭がおかしい人と思われないことね。)
【神凪】(そう思われたら確実にお前のせいだろ!)
【アリサ】(でも他の人に今のあたしは見えないもーん。)
【神凪】(ち、ちくしょお・・・っ!!)


そうこうしているうちに、毎日通う道を逆戻りして、学校へと到着。神凪は、すぐにその『異変』に気がついた。
【神凪】「おい、ちょっと待てよ・・・日曜でもこの時間なら部活やってる連中とかいるはずなのに・・・人の気配がしねぇ・・・!」
【アリサ】(やっぱり・・・いくわよ!)
アリサは再び神凪を操り、玄関へ飛び込む。

【神凪】(マジで誰もいねぇ・・・)
毎日見ている景色。だが異様な雰囲気に包まれ、人の姿はどこにも無い。

・・・が、次の瞬間、『気配』を感じ取った。
【アリサ】(・・・来る!!)


・・・廊下を曲がって現れたその人の姿に、神凪は驚いた。
【神凪】(が、ガキじゃねぇか・・・!それも女の子・・・!)

現れたのは、10歳ぐらいの女の子。さらに驚くべきことに、彼女の服はいわゆる「ゴスロリ」と呼ばれるものである。
【女の子】「・・・誰? わたしの、邪魔をするのは・・・」
そう、小さくつぶやく。
【神凪】「お前がこの騒ぎの犯人か!?」
【女の子】「犯人・・・そうね・・・わたしは、復讐に来たの・・・夢を忘れた人間に・・・」
【神凪】「だからって・・・こんなことしていい訳ねぇだろ!!」
と、語気を強める。

【アリサ】(おーう、その調子その調子!勇者様っぽくなってきたねーっ!)
【神凪】(そこ、茶化すな!一応こっちもダチが消えて必死なんでな・・・)
【アリサ】(とにかく・・・いくわよ!)
するとアリサは剣を構えさせ、いきなりその女の子に突っ込んだ。


その女の子は、左手をすっと前に出すと、
【女の子】「防御[Guard]。」
一言発する。するとバリアのようなものが張られ、神凪を弾き返す。

【神凪】「っ・・・!」
【アリサ】(どんどんいくわよ!)

二撃、三撃、四撃と、次々と剣を叩き込む神凪。だが彼女はそれを全て弾くと、
【女の子】「攻撃[Attack]。Shift…剣[Sword]。」
そう唱える。すると右手に光が集まり剣が生まれ、今度は彼女が神凪に突っ込んできた。

【神凪】「おわあっ!?」
【アリサ】(落ち着いて!)
そう言いアリサはその子の剣を神凪に受け止めさせる。だがその後も、物凄い速さで剣を打ち込む。まるで、
【神凪】(こいつ・・・本当に人間か!?)
と思わせるぐらいに。

神凪もアリサの憑依により何とかそれを全て弾く。カン、カンと剣のぶつかる音が夕方の無人の校舎に反響する。
【神凪】(くっ…何とかならねぇのかよ!)
【アリサ】(最初はいけると思ったんだけど…予想以上だわ。)

だが、それは向こうも同じだったらしく、
【女の子】「データにない人間が、ここまで対抗するなんて・・・一時、撤退・・・」

すると、その子は突然姿を消した。目の前で、跡形もなく。

【神凪】「消えた!?」
【アリサ】(助かったみたいね・・・)

同時に、異様な雰囲気も消え去り、学校は普段の色を取り戻した。ただし、消えた人間は戻ってこずに、無人のまま。

【神凪】「くそっ、一体どこに・・・・!?」
・・・その次の瞬間、神凪は体中に激痛を感じ、その場にへたり込んだ。
日常生活ではまずあり得ない超高速戦闘を(操られたとはいえ)行ったのだ。体が悲鳴をあげるのも、当然である。

<続く>

このページについて
掲載号
チャオ生誕10周年記念特別号
ページ番号
4 / 12
この作品について
タイトル
【REMEMBER!![リメンバー!!]】
作者
ホップスター
初回掲載
チャオ生誕10周年記念特別号